2015年1月11日日曜日

『リトル・マーメイド』

☆ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ監督/1989年/アメリカ

☆見るの・・・?? 20回めくらい?

☆見た場所・・・自宅(DVD持ってる)

☆なぜ見たか・・・メンケン、アシュマンの偉業を再確認しようとして


ひとつ前の記事の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の成功を経て、
アラン・メンケンとハワード・アシュマンは新体制ディズニーアニメの音楽担当に。
その輝かしい第一作目が、これでした。


一匹のお魚が、船の上と海底とをつなぐタイトルシークエンスからもう、
素晴らしさに身震い。
さりげないけど、きちんとした導入。

ディズニーアニメが”お姫様”を描くのは実に30年ぶりで、
王子様の到来をじーっと待って、周囲のいやがらせに耐えて・・・というお姫様像は、
アリエルで完璧に覆った。
自ら厄介ごとを起こすし冒険心旺盛、なんなら少々ワガママっていう、
新しいお姫様がここに生まれた!


情熱的な真っ赤な髪は、海によく映える。
「人魚はキンパツだろ?!」って意見が製作段階で有ったようだけど(何それ)、
赤で大正解。大成功。
アリエルは途中で一度、声を失ってサイレント状態になりますが、
もうそのくるくる変わる表情の豊かさよ。かわいらしさよ。

他のキャラクター造形も見事で、まず悪者のアースラね。タコの怪物。


この厚化粧とでっぷりした風貌、取り巻きを従えてる貫禄・・・
場末感の女感がすごい。
ディズニーヴィランズはほんと、洒落っ気と不思議な色気がある人が多いと思う。
悪役不在のアナ雪の軟弱さがいよいよ情けなく感じてしまう。
『魔法にかけられて』も数年前に見ようとしたけど、あまりにも悪役に魅力が無く、
というかアニメ部分が全体的に手抜きすぎで、途中で見るのやめてしまったわ。
アースラが船の上を駆けてくるとことか目が血走って巨大化するとことか、
小さいころ超怖かった・・・

余談だけどアースラをなんの魚類にするか?という議論のなかで、
カサゴという案が始めに有ったらしい。
カサゴ!



そして、セバスチャンを執拗に追いまわすサイコ気味のシェフ・ルイ。


声をあてているのはルネ・オーベルジョノワ!!!
バードシットの、鳥化する博士!


海にいる面々が魅力的に紹介されるのは、名曲アンダーザシー。
この曲はディズニーの数ある楽曲のなかでも一番くらいに完成度が高いと思ってる。
カリプソやレゲエの要素を取り混ぜたポップミュージックで、
もう前奏から心を浮き立たせてやまないのだけど、圧巻はその言葉遊び。

こういうのって、歌詞を全部掲載したら著作権に抵触するんでしたっけ?しない?
まぁどうせディズニーの人とかがこの記事をみる確率はゼロなのでなんでもいいんですけど、
韻ふみまくりのとんでもないパートのみここに引用~。

The newt play the flute
The carp play the harp
The plaice play the bass
And they sounding sharp
The bass play the brass
The chub play the tub
The fluke is the duke of soul

The ray he can play
The lings on the strings
The trout rockin' out
The blackfish she sings
The smelt and the sprat
They know where it's at
And oh, that blowfish blow!

ここのパートすごい早口なんだけど、これを完璧に歌いきって悦に入りたい。

あと、
Each little clam here know how to jam here とか、
Each little slug here cutting a rug here とか、
What do they got, a lot of sand
We got a hot crustacean band とか・・・キリがなくて困る・・・・・・

天才すぎ。ハワード・アシュマン。

そんなハワード・アシュマンは、続く『美女と野獣』でもメンケンとコンビを組み、
その次の『アラジン』の作詞途中に、40歳という若さでこの世をさりました。
アシュマンの死の当時はまだ公開前だった『美女と野獣』、
エンドクレジットにはこんな感動的な献辞が。

To our friend Howard,
who gave a mermaid her voice and a beast his soul,
we will be forever grateful.

もうそらんじてるわ!!!

アンダーザシー以外にも名曲だらけで、
アリエルが陸での生活を夢見て歌うパートオブユアワールド。
セバスチャンが王子とアリエルのキスを促して歌うキスザガール。
怪物アースラの怖過ぎナンバー、あわれな人々。(poor unfortunate souls)
全部が全部超絶好き。
物語から自然に曲へと入っていく、というか、物語るための曲。
偉業も偉業。


リトルマーメイドではセバスチャン(カニ)にカリプソを歌わせ、
美女と野獣ではガストンにワルツを歌わせる。(フランスだから)
アラジンではもちろんアラビアンな音楽、
ノートルダムの鐘では大聖堂に見合う聖歌隊、
ヘラクレスではギリシャ神話=宗教音楽=ゴスペル。
こういう、単純明快さと天才とが相俟って、
素晴らしいアニメ映画とそれを美しく語る音楽とが生まれたのですね!!!


ターザンあたりから長い迷走期間に突入してるディズニーアニメ。幸あれ。


PCから見れると思うアンダーザシー。↓↓↓


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