2014年4月20日日曜日

『裸のキッス』

☆サミュエル・フラー監督/1964年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタVHSレンタル)

☆なぜ見たか・・・初めて見たときの衝撃が忘れられなくて


4年くらい前に1度見て強烈に印象に残っている作品。
また見たいな~と思いつつも、シブツタ、わりと常にレンタル中で。
やっと借りられました。

のっけからフルガッツ!!!

形相の美女がよれよれの男を殴打し続ける。
男が抵抗しようと美女の髪をつかむと、

カツラがズレて・・・

 

ギャーーーーーーーーーー!

他に類を見ない、衝撃的なオープニングシークエンス。
そして、女の置かれた悲痛なる状況を一気に描ききる手腕、
そのハンパなさに驚愕してしまう・・・
例えばこれを映画館で見たとしたら、
このオープニングだけで完全にチケット代の元取れるよ。


この美女(コンスタンス・タワーズ)はケリーという娼婦で、
この生活から脱却しようとしている。
ピンハネボスを叩きのめして、ここから更生するぞ、と街を出ていく。
彼女は障害児童のための施設で、看護婦として働き始める。
そこで街の名士に気に入られ、娼婦の過去を告白したにもかかわらず
彼からプロポーズを受ける。
しかし実はこの名士、とんでもない奴で・・・という映画。
そう、その名士のキッスは、裸のキッス=精神異常者のキッスだったのです。


冒頭で人を殴ってたケリー、そのあとも再三にわたって人を殴る。
コンスタンス・タワーズは強気そうな美人ではあるものの、
なんか暗い影があるというか、苦労してそうというか、幸が薄そうというか・・・
やさぐれたナオミ・ワッツという感じ。

電話機で人を殴るシーンの不吉さよ。
そして殴られて横たわった人物の顔面に、結婚式で使うベールが、
・・・ふぁさっ・・・・・。とかかる。
あれ以上に不吉なものを見たら、人類はどうかしてしまう。
とにかく一つ一つのショットがパワーを持った、大傑作!!!!!

ケリーが勤務する障害児童の施設の撮り方もすごい。あっけにとられる。
寒々しいような薄暗さがありつつ、
子どもたちが歌い、ケリーがそれに応えるようになだめるように歌うシーンなんてもう、
ただ美しい。そして限りなく優しい。
子どもたちが、かわいい、無邪気、という撮られ方をしていなくて、
それも不思議な雰囲気を醸し出している。
変な夢をみているみたいで、こんなシーンほかに見たことない!
涙が出るほど優しい音楽シーンと、
スキンヘッド美女がバシバシ殴打するシーンとが同居してる映画・・・


ありふれた田舎町にひそむ差別や偏見、変態、を描いているかに見えて、
根底は、ケリーの青春物語。
青春ていってもそんな、爽やかなものではないけど。
部活の仲間一丸となって土手ダッシュするシーンもないし。

ボロボロのキズキズになっても、最後には誇り高いケリーを見て、
ああ、なんて豊かな92分・・・
と思ったのでした。

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