2014年7月12日土曜日

『わたしはロランス』

☆グザヴィエ・ドラン監督/2012年/カナダ、フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・公開時に見逃して。準新作100円だったので


グザヴィエドラン  ってなんか響きがすごい好き・・・濁点がいっぱいで・・・
声に出して発音したいどころか、叫んだりささやいたり、
いろんなヴァージョンで楽しみたい名前。


なかよしカップルのロランスとフレッド。
しかしロランスはある日、フレッドに、自分の心は女性であることを告白する。
激昂かつ混乱するフレッドだったが、
ロランスの「女性化」に協力することを決意する・・・というお話。


この作品はとても長くて(168分)、若さゆえかいろいろ詰め込んだ感がある。
そのわりに、ロランスがフレッドにカミングアウトするシーンなんか急も急で。
(カミングアウト寸前で場面を切ったのはスマートだと思うけど)
ちょっとよくわかんない感じ。

また、スロー映像の多用や手持ちカメラのぶれぶれ撮影なんかは、
長く見るにはあまり向いてなくて、イメージ先行のピーブイ監督か?と
序盤はかなり危惧。
島に旅したときのスローはとても綺麗だったけど、あそこだけで充分かも。

『砂丘』の幸せヴァージョン・・・?


そして音楽の使い方が・・・ダサくて・・・
あまり効果的ではないかも・・・・・・


と、難点を論ってしまったけど、
それでもこの作品は、肯定したくなるパワーがある。

私はなんでか「再会シーン」に弱くて、
昨年の夏に「恋愛映画ベストスリーを考える」っていう
不毛かつ楽しい苦行を自分に課したのだけど、挙がった究極の3本が
アタラント号
冬物語
ローラ(ドゥミのほう)
でした。昨年の夏時点では。
気づけば3作ともフランス産、再会もの。
個人的にはそんな、再会したら涙を流しちゃうような人は居ないんですけど、
素晴らしい描かれ方をされた再会シーンは本当に感動しちゃう。

この作品の再会シーン1回め、
お互い探り探りのところから一気に感情が高まるシーンでは、
急に涙がポロポロと・・・
接吻等をするという以前に、触れ合える喜び、みたいなものを感じて、
やっぱりふたり一緒にいなきゃダメなんだ!!!と鼻息を荒くした次第。
ふたりは絶対に一緒にいてほしかったのに、ハッピーには終わらないこの切なさ。
楽しい時間よりも痛みが多すぎたみたい。
はなればなれになることは、
吹き荒れる嵐のなかに飛び込んでいくことだった。


ドランくんの他の作品も見てみたい!
少なくともドランくんは、人物を描くことや映画を撮ることにとても誠実な感じがしたので。
(ロランスが初めて、女装して授業に出るシーン。
 あの撮り方はすごいと思う)


また特筆すべきはナタリーバイ!
先日『ママはレスリングクイーン』を見たときもすごいと思ったけど、
本当、若者の映画にも平気で出て素晴らしい演技をする、その姿勢に感動。
偉大だと思う。
われらがナタリーバイ。

主演のメルヴィルプポー氏は、本当にどんどん綺麗になっていくのがすごかった。
最初はちょっとこの人の女装きついかも・・・と思ったけど、終盤は特にそう思わず。

フレッド役のシュザンヌ・クレマンさんは、けっこう怒ってるシーンが多くて、
もっと魅力的に撮ってあげて、と思った。
カフェでぶちぎれるシーンはよかったけど!
けっこう終始怒ったり悲しんだりで、ハッピーなのは序盤だけだったので・・・
でもすごい切ない役だと思う。
自分の努力で越えられない壁、っていう、しかも、歴然とした片想いというわけではなく、
宙ぶらりんな状態がより彼女を苦しめる。

私はもうすぐ26歳になるというのにいまだに恋愛の機微があんまりわからないけど、
ドランくんはいろんな経験(恋愛以外でも)したんだろうな。


美しい、異色の、恋愛劇。
私はドランくんとモロ同世代なので、そういう意味でも興味が尽きない。
トムアットザファームは映画館にゴーですね。

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