2014年7月12日土曜日

『フレンジー』

☆アルフレッド・ヒッチコック監督/1972年/イギリス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ひさしぶりにヒッチ気分で


いやーーなんか一時期ヒッチ強化してたけど、いつの間にか忘れてました。
ひさしぶりに大先生の作品にふれてみる。


おっかないいポスター!!

ロンドンで連続殺人事件が起きる。
被害者はすべて女性、ネクタイで首を絞めた状態で発見されている。
とある街人(ジョン・フィンチ)がその事件に巻き込まれ、
容疑者として追われる身となってしまう・・・というお話。


濡れ衣を着せられて逃げまくる主人公、
恐怖の随所にあらわれるユーモア、
ふとしたズレからどんどん転がって展開していくサスペンス。
さすが!激おもしろい!

けれども「登場人物の粋さ」みたいなものはこの作品にはあまりなくて、
けっこう暑苦しい男どもがアップで映るし、美女も出てこないし(失礼)、
おっかない死体の映像とかも平気で出てくる。

主人公がまずなんか変で。

映画の途中まで、ほんとにこいつが犯人でもおかしくないような描かれ方をしてて、
私も少しく疑ってしまった。ゴメン。

ヒッチコック作品の主人公としてはかなり粗野で、
まぁファミリー・プロットのブルースダーンくらいには品が無いかな。

対する「真犯人」は、やっぱり紳士のツラをかぶってるのね。
でもこいつが殺人をするシーンは、どうしてもかなり暑苦しくなまなましくて、
生理的に不愉快でした・・・・・・
ヒッチ作品を見ててこういう感覚になったのは初めてだ・・・

でも幾度か出てくる殺人シーンで、殺人の手順を少しずつ観客に明かすんだけど、
もうなんかお見事のひとこと。
1回殺しをまざまざと見せたら、もう見せない。
女が部屋に入ってく、扉がしまる、なかで何してんのか映さずにカメラは、
ゆっくりゆっくりと後退しながら階段を下りてアパートの外に出て
アパート前の車道を突っ切るようなかたちで、最終的にはアパートを遠巻きに映す。
これがね、ワンカットですよ(たしか)。
もう驚いて口をバカみたいにあけることしか出来ない。


あーそういえば、この真犯人、ブルースダーンと同様に、
顔面を女性に踏まれるのね。

ええ、死体の足に。
このへんのどブラックユーモアは笑っていいやら悪いやら。。


けれどもユーモア大賞は、この事件を捜査する警部とその奥様。
奥様はフランス料理にハマってるご様子で、毎晩、
なんだかよくわからないゲテ料理みたいなものを供してくる。
警部はそれにめげていて、盛られた料理をコッソリ大皿に戻したりする日常。
さりとてこの奥様はかわいらしいお方、かつ、
ネクタイ殺人事件の真犯人を直感で言い当てるなど「女の勘」が発達してる。
(妻「私にはなんでもわかるのよ」
 夫「なら、僕が本当に食べたいものは何かわかる?」
 みたいな絶妙な会話もあり)

グロテスクな高級料理を食べながら、殺人事件の話題で盛り上がる夫婦。
それを、こんなに愛嬌たっぷりに描けるなんて。おもしろすぎる。うますぎる。


そして訪れる一瞬の、セリフなき幕切れ。
絶叫もの。


このトレイラー(PCから見れる)↓おもしろすぎ!!!!!
ヒッチコック大先生、なんてラヴリーラヴリーラヴリーーーなおじいさんなんでしょう!

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