2013年9月4日水曜日

『ションベン・ライダー』

☆相米慎二監督/1983年/日本

☆見るの・・・8、9回めくらい

☆見た場所・・・自宅(DVD持ってる)

☆なぜ見たか・・・毎夏見たくなる

「一番好きな映画は何」って訊かれたら、だいたいコレを回答してる。
そのくらい、大切な映画!
初めて見たのは5年前の今頃、早稲田松竹の特集上映で、
『セーラー服と機関銃』との二本立て。

初めて見たときはラストシーンでとんでもなく号泣して、
終映後もフラついちゃうくらい爆裂に感動した。
初見が映画館だった、というのは、たいへんラッキーだったなぁ。
この映画は特にロングショットが多いし。


いつもガキ大将のデブナガにいじめられている、ジョジョ、辞書、ブルースの3人の中学生。デブナガに仕返しをしようとしていた矢先、3人の目の前でデブナガが暴力団風の男たちに誘拐されてしまう。デブナガを救出しようとする3人は、誘拐事件を起こした組員、山と政を連れ戻すように組から命じられていた中年のヤクザの厳兵と出会う。3人は厳兵に、一緒にデブナガを救出しようと持ちかける。(ウィキペディアより)


左から辞書、ブルース、ジョジョ。
辞書:坂上忍さん。ブスは家から出るなとか言ってる現在からは、程遠い感じ。
ブルース:河合美智子さん。声が良い。
ジョジョ:永瀬正敏さん。大好き!


こんなにも繰り返し、この映画を見てるのに、
私が言葉で説明できる魅力なんてたかが知れてるわ。
言葉でスッキリ説明できる類のものではない。
その上、この作品はストーリーがかなり端折って語られるので、
「わけわかんないからつまんない」とか言う人いっぱい居そう。

けど、そういうことではないのだよと声を大にして言いたい!
画面狭しと彼らが走り回って、傷だらけになってもがむしゃらに、
支離滅裂に、あらゆる意味を排して走り回って、追いつめられて、
大人にならざるを得ない、成長せざるを得ない、
けど言葉にできない感情をどう爆発させていいのかわかんない、
その姿を見てグッときてしまう。
クソッタレな感じの大人になってもこの感動を忘れずにいたいよ。

のっけの7分以上にわたる長回しも凄いけど、そんなこと言ったら、
凄くないショットがこの映画に無いです。
けど溝口さんのような流麗な長回しではなく、
動き回る少年少女の躍動にカメラ側が合わせてるみたいな、予測不能の長回し。
ある意味ドキュメンタリーみたい。

そして、相米映画の少年少女は、脈絡なく歌う。
大量の水にうたれながら近藤マッチの「ふられてBANZAI」を
声を張り上げて歌い踊るラストシーン・・・嗚咽。
この歌そのものにはメッセージ性皆無なのに。
途中でアラレ先生と歌う「雨降りお月さん」も大好き。
別の作品だけど、『台風クラブ』の冒頭でみんなが踊る「暗闇でDANCE」も大好き。

永瀬さんは、自転車からトラックに飛び乗るシーンで死にかけたらしいんですけど、
本当に過酷そうな場面が多いなぁ~と思う。キャストもスタッフも。
その、どんづまりみたいな部分で、思いもよらないものがカメラに映るのでしょうね。


あと、「男女混合三人組」の映画っていいですよね。
ストレンジャーザンパラダイス
カリフォルニアドールズ
はなればなれに
女は女である
冒険者たち
生活の設計
・・・わーこれしか思いつかない。けどいずれおとらぬ傑作~。
男性だけの三人で言えばダウンバイローとか、サボテンブラザーズとかさ、
マルクス兄弟も三人ですね。
なんか絶妙なバランスが成り立ったり崩れたりして、おもしろいと思う。


もっといろいろこの映画について語りたいことはある、というか、
この映画を愛する人と4時間くらいかけて語りたい!
ブルースが随所に見せる気遣いがいいよね、とか、
出演時間は2分くらいだけど倍賞美津子さんめっちゃいいよね、とか、
あの字幕のダサい感じがまたいいんだよね、
みたいな話をしたいです。
本当大好きな映画。一番大好き。


1 件のコメント:

  1. その後映画は星の数ほど観たけれど、18歳の冬に『ションベンライダー』を初めて観た時の全身が震えるような体験は一生に一度のものだったんだなぁとあらためて思います。
    同じ年の夏、名古屋に住んでいたわたしは、アラレ先生が決死の覚悟で飛び降りたあの吊橋で、映画の痕跡と彼らが生きた夏の幻影を探しながら、熱田神宮にほど近い堀川の川面を眺めたのでした。
    このブログの文章を読んで、あの頃の特別な気分を少し思い出しました。どうもありがとう。

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