2014年6月29日日曜日

『復讐は俺に任せろ』

☆フリッツ・ラング監督/1953年/アメリカ

☆見るの・・・3回めくらい

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・先日『真人間』を見たらこの作品を思い出して


復習は俺に任せろ、そのかわり予習はお前がやれ。
・・・お受験映画の珍作!(全部嘘)

 

初めて見たときそうとうブッ飛んで、ラングの名前が私のなかに深く刻みこまれた。
何度見てもその素晴らしさは色褪せるどころか、見るたびに強烈な驚きと感動が!!!

もうグッとこないショットが無いほど大好きな映画で、どこから話していいのかもわかんない。
ともかく隙のないストーリーテリングとスピード感、主役級たちの顔の魅力、
個性的で忘れがたい脇役たち、シャープな画面、どこをとっても胸がアツくなる傑作。

主演は、グレンフォード。
妻を殺害されて復讐に邁進する元警官、という役どころが凄いハマってる。
その熱さと冷静さのバランスが。
ありあまるいい夫感、いいパパ感も、この作品に深みをもたらす。
(個人的にいってかなり理想の夫婦)

 

また驚くべきはグロリアグレアム。
ギャングマンの情婦、1週間のうち6日は買いものして、あとの1日は疲れて休む女。
鼻歌まじりに腰をふりながらお酒つくるところとか、サーカスのモノマネするところとか、
この人じゃなきゃ表現できない独特の幼さみたいなものが素晴らしい!!
ワザとらしくならずあんなことが出来るだなんて・・・
インテリジェンスを微塵も感じさせない、けどそこが良い!
バカっぽいけど不思議と情があってセクシーーーーで、ほんと、いい女。
少し眠たそうなドリーミーな眼つきと、ふくれたような頬&唇が、
成熟と未熟のあいだをいったりきたりする。
大好き!


そして、煮えたぎるコーヒーを顔にぶっかけられたあとの悲痛な美しさ。
美とグロテスクの表裏一体。
顔半分を包帯で覆った彼女にはある種のフリークス的な蠱惑も生まれて、
なんかしらないけどゾクゾクさせられる。


今回見直してびっくりしたのが、彼女が殺人をするシーンの素晴らしさ!
わけのわからない発言(ほんと不思議ちゃんの感じ)で相手を混乱に陥れ、
その隙に、これまでで最高の気分よ、とかいって眉ひとつ動かさず一撃。
身体じゅうの痺れがとまらないような流れでした。
こんな禍々しい女になっちゃって・・・
グレンフォードとのプラトニックな共犯関係には、涙が出そう。

また、リーマーヴィンに対する復讐シーンにも戦慄。
カメラがパッと切りかわるとコーヒーポットを片手にエラそうに立ってるあのショット!!!
思い出すだに鳥肌プチプチになりそう!

憎しみがぶつかりあうラスト一連のシーンは、臆面もなく完璧と言ってしまいたい。
顔半分を隠しながら死にゆくグロリアグレアムの哀しさも、
巨体をゆすぶってもがくリーマーヴィンの粗野っぷりも・・・

そうリーマーヴィンに言及してなかったわ。
まだけっこう若いころで、それなりにツルっとしてるけど、
やっぱり凄い顔だしほら穴から聞こえてくるみたいな声で、痺れる。
グロリアグレアムみたいな女をはべらせてるとこにも痺れる。


隅々まで大好きな、心の底から興奮する映画!!
いつか映画館で見られる日を楽しみに・・・


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