2014年10月19日日曜日

『私はゾンビと歩いた!』

☆ジャック・ターナー監督/1943年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆怖い映画について書いてみよう第2弾☆


題名がいい。原題はビックリマークなしのI walked with a zombie


ただここで言うゾンビとはいわゆるあの、お墓から出てきてボロボロで、
みたいのではなくて、
ブードゥー教の呪いをかけられて「生ける屍」と化した人のことをそう呼んでるんですね。
なのでぞうもつを食らう描写とかはナシ。


何かが起こりそうな予感に満ちた、冒頭のモノローグ。
(I walked with a zombie... と始まる)
その予感はどんどん不吉さの印象を強めて、最後まで画面に蔓延する。
影、影、影。影の見事さよ。
詩的ホラーとでもいうべき、甘美で濃密な雰囲気。


主人公の看護婦さんはインド諸島にあるお金持ちの家に派遣される。
そこへは船で向かうのだけど、
ゾンビよりよっぽど無気力に見える男がダメなお経みたいな歌を歌いながら、
果てしなく緩慢な挙措で舵輪を動かす。
68分と短尺ながら、こういう不穏さのちりばめかたが本当に巧い。

そして、ナースとゾンビの恐るべき邂逅!!!
このゾンビ役の人、ただボーっと歩いてるだけなのにこうも恐ろしいのは、
不自然なほど妖しい美人であること、つめたい表情と華奢さ、
そして布の無駄とも思えるほどひらひらしたネグリジェのせいでしょうか。
とにかく終始無言で、まさに生ける屍。

そして、ナースはゾンビの呪いを解くべく、ブードゥー総本家みたいなところへ向かう。
ここの演出も見事!
いつ終わるとも知れないその行程(藪みたいなところ)、
随所に謎の骨や祭祀用具っぽいオブジェが配されている。

左がゾンビ、右がナース。

ブードゥー教のタイコのリズムとか言語とか儀式とか、
そういう呪術的な奇怪さが終始まとわりつく。

終わらない悪夢のような映画で、なにもかもハッキリしない。
でも、それが恐ろしい。
いっそすべてクリアになればどんなに良いことか。


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