2014年3月31日月曜日

『暗い鏡』

☆ロバート・シオドマク監督/1946年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタVHSレンタル)

☆なぜ見たか・・・シオドマク監督作品を見てみたくて


シオドマク監督作品、初めて見た!
あまりレンタルにないのでは?
シブツタにシオドマクコーナーとかないしね。
(コーナーに頼り過ぎだと自覚してるけど、もっといろいろやってほしい。
 マッケリーコーナーとか)

これはクラシックコーナーで発見して、満を持してレンタル。
双子スリラーの傑作!

こっわ。

 こっわ。


高名な医者が刺殺された。
目撃者の証言で犯人はある女にアタリがついたものの、実は彼女は双子。
どちらかがウソを言っているようで、アリバイがつかめない。
ソックリなので周りの証言もあてにならない。
詮方なく警察は、精神科医に、彼女らの精神分析を依頼。
それぞれに心理実験をおこなった精神科医はやがて、
彼女らのうち一人が精神異常者であることを突きとめる・・・というお話。


精神科医を演じるのはリュー・エアーズ氏。
『素晴らしき休日』でキャサリン・ヘプバーンの弟をやっていた人ですね。
あの青二才くんが、いい感じのオッサンになってます。
冷静沈着、飄々としていて、少し軽妙。

そして双子を一人二役で演じるのが、オリヴィア・デ・ハヴィランド!
最近記事を書いた『いちごブロンド』の本当のヒロイン。

オリヴィア・デ・ハヴィランドの撮られ方、吃驚・・・
同一画面上に、あたかも自然に登場するので。
私は技法のことには明るくないけど、この時代にこんなことしてるのは見たことない。
この人ってほんとに双子だっけ???!!!
って何度も思いましたが、やっぱり一人二役なんですよ・・・


こんな鏡を使ったショットも。凝ってる!


これなんてもう、怖いでしょう。
ハッキリ言ってなんでそこまで凝るのかよくわからない・・・
シオドマク監督のことをまだ全然わかってないけど、なんか変わってるというか、
え、ちょっと何がしたいのかわからないよ、ってくらい凄い。

でも凝ってるのは、オリヴィア・デ・ハヴィランドを撮るときだけではもちろん無い。
全体的に画面が力強い!(顔芸も◎)

そしてタイトルにも有る鏡。
この映画のなかで鏡は装飾のために出てくるのではなく、
すべての場面で、物語的に意味があるのですね。
シオドマク監督は、けっこう合理的なのかもと思った。
画面が凝ってるとはいえゴテゴテしてるわけではまったくないし、
合理性を思えば、オリヴィア・デ・ハヴィランドの偏執的な撮り方にもまぁ納得いく。
みじかい時間でサッサと物語を処理できるように、なのかはまだわからないけど。
もうちょっといろいろな作品を見てみたいです。

2014年3月22日土曜日

『いちごブロンド』

☆ラオール・ウォルシュ監督/1941年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタVHSレンタル)

☆なぜ見たか・・・以前見たときの幸福感が忘れられなくて


冒頭、テーマ曲「バンドは奏でる」が流れ出すと、全身に鳥肌が!
そして中盤でその曲にあわせて”いちごブロンド”=リタ・ヘイワースと踊るシーンに至るや、
もう震えがとまらない!!
というくらい、猛烈に好きな作品でした、やっぱり!!!

ビフ(ジェームズ・キャグニー)は、いちごブロンドに恋をする。
けれども恋敗れ、いちごブロンドは別の男性と結婚。
ビフは結局、いちごブロンドの冴えない友人(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と結婚することに。
けれども、本当に幸福だったのは実は・・・という映画。

オリヴィア・デ・ハヴィランド、いい女!!
冴えない女、という設定だけど、すごい綺麗。それはもう。
タイトルと別の女性がヒロイン、というもの、なんか大変に切ない。

キャグニーはこの映画では、ギャングではない。
キャグニーも普通に恋愛とかするんだね。するかそりゃ。
人並みに恥らったり浮かれたりするとこなんか、スウィートとすら思うね。
いちごブロンドとデートした帰り際、
「今日はこれまでで最高の日だ、ナショナルホリデーにしたいくらいだ!」
みたいなセリフが、この強面から出てくるなんて。
(だって同監督の『白熱』におけるキャグニーさんとかもう、
 破壊の権化、地獄からの使者って感じでただただおっかないし。)
歯医者のくせに大学生相手にからんだり、片鱗は見える感じなんですけど。

本当すごい顔してるよ、キャグニー・・・
キビキビっ!!!!!!とした喋り方も独特でナイス。姿勢も良い。
けど、こんな人が歯医者だったら怖くて行けない。私は。


フラッシュバックで描かれる青春物語。
信じがたいくらい幸せな映画。
語り口もロマンチックで、かつスッキリしていて、もっとずっと見ていたい。

タイトルロールであるリタ・ヘイワースは、たしかにゴージャスで綺麗だけど、
とっっっても頭悪そうで魅力はいまひとつな感じ。(そういう演出なので、念のため)

ウォルシュ監督の作品、白熱もこれも狂おしいくらい大好きだけど、
あまりに毛色が違うので混乱中。
他の作品も見てみよう。

『陽気な中尉さん』

☆エルンスト・ルビッチ監督/1931年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)にすすめられて


本当に陽気で、どうにも切なくて、そこはかとなくエロティック!!!
これぞルビッチの艶笑喜劇!!!

キャストも豪華です。
陽気な中尉さんがモーリス・シュヴァリエ、
王女がミリアム・ホプキンス、
バイオリン弾きがクローデット・コルベール。

フランス版?のポスターも良い感じ。

プレイボーイの中尉さんとバイオリン弾きが恋に落ちる。
けれども中尉さん、小国の王女になつかれてしまい、結婚するはめに。
それでもバイオリン弾きを忘れられない彼。
いけないとはわかりつつも、二人は密会をかさねる。
が、身を引く覚悟を決めたバイオリン弾きは、
子どもっポイ王女を「大人の女」に仕立て上げるべくあれやこれや・・・という映画。

少ないセリフで大いに語る。
冒頭2分くらいで早くも炸裂するルビッチタッチは、
その後約90分にわたってノンストップハッスル。
もう、本当に幸せ!!!!!

サイレントの頃と同様、アクションや表情、小道具、間合いで魅せる手腕が見事過ぎる。
飄々と楽しくて、ハダカは出てこないのに艶やか(というかエロス)!
ラストシーンなんて実はかなりあけすけなのに、演出は無上の粋さ!
×の渦の監督なんかはちょっとこういった演出を学ぶがいいよ。恋のほうしか見てないけど。
粋、瀟洒、洗練、という言葉を使わずにルビッチ作品を語るのは至難の業。

セリフが少ない、とさっき書いたけど、それと同時にセリフが本当に美しい。洒落てる。
簡潔な英語でこうも美しいセリフを語る、これがまたルビッチ作品の好きなところ。
朝食と夕食のくだりなんて、もう胸の高鳴りをおさえることができない!わーっ!
ドキドキし過ぎて、奇声を発しながらおもてを駆けまわりたくなる!!!
こういう、気の利いた英語を話せるようになりたいものです。

そしてモーリス・シュヴァリエの歌や顔芸よ!

もう、この画像だけで、映画の楽しさが伝わってくるようだよ。
けど中尉さんのみならず登場人物は皆いきいきしてる。
クローデット・コルベールは、繊細な勝気さでとっても適役、魅力的。
ラストの「二人のニキをお願いね」には万感込められていて、たまらない。いい女。
ミリアム・ホプキンスは可憐でわがまま、音楽に乗せた変身シーンが限りなく幸せ。
なんたる幸せな2ショット・・・


嫌うべきところがひとつも見当たらない作品。
どうしてこれまで見ずにいられたのでしょう。

余談だけどシブツタレンタルは本当にすごいですね。
ルビッチ『百万円貰ったら』すら発見。
100円レンタルの折に必ず借りるっ!!!

『船乗りシンドバッドの冒険』

☆カレル・ゼマン監督/1971年/チェコスロバキア

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ひさしぶりにカレルゼマン監督見たい!と思って


とてもひさしぶりにブログ開いていろいろいじってたら、
「どの記事にどれくらいのページヴューがあったか」を見られるコーナーを発見。(今さら)
何の差なのかわからないけど、ものすごいバラつきがあって驚きました。
ちなみに一番ページヴューが多かったのは、濱マイク。断然トップ。
へえーーー。


この作品について記録に残しておきたくて、ブログを更新することにしました。
ブログ再開・・・とは言えないけど。すぐ存在をわすれちゃうから。
でも少し落ち着いたし、また更新していきたいな。


なんたる愛嬌。
カレル・ゼマン監督の作品が大好き。

「映像の魔術師」とはよく言ったもので、この色彩感覚と造形感覚はどうかしてる。
繊細かつ大胆、レトロかつ斬新・・・
このあたたかみにはピクサーも泣いて謝るよ。
ピクサー作品大っっ好きっっ子だけど。(よくはねる)

根底の部分で人間の優しさや美しさを信じている感じが、泣かせる。
カレル・ゼマン監督の作品はほんとに、楽しくてロマンチック、優しい。
愛以外のものには執着しない、こざっぱりした優しさ。
旅は恐れず、要らないものは捨ててゆく。
愛嬌と優しさがあればなんとか生きていけるかも、という、
おそろしい錯覚に陥らされてやまない。

 全編を見守るような、穏やかなナレーションも心地よい。
この映画を見てまったく幸せな気持ちにならない、むしろ誰彼かまわず殴りたくなっちゃった、
みたいな人は、鬼と断じます。後半だけで充分鬼だけどね。

そしてなんともユーモラス!
大男の眼に木片がブッささるシーンの間合いなんて完全にコントだよ。
チェコ版こなきじじいみたいな老人(中段右)も、シンドバッドさんには悪いけど可笑しい。


カレル・ゼマン監督の作品を初めて見たのは、たぶん21か22歳くらい。
悪魔の発明。
緻密さにゾクゾク、ワクワクして、
そのあとホンジークとマジェンカを見て完全に大好きになった。
いつか映画館で見てみたいなぁ。
ずーっと前にイメフォでレトロスペクティヴあったみたいだけど、当時は全然知らなかったので。
もったいない。