2013年8月31日土曜日

『新婚道中記』

☆レオ・マッケリー監督/1937年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ケイリー・グラント氏見たさに


スクリューボールコメディの王道をいくような、軽妙で楽しい作品でした!
大好き~!
ナイスすぎる写真みっけた~!何これ宣材?
このポスター欲し!!!


お互いに浮気をしてるんじゃないかと疑いあう夫婦が、離婚調停へ。
イロイロあって、離婚成立の日に元さやに戻る。 という映画。

元さやに戻るであろうことはハナから判るので、
むしろ演出の妙やいろんな伏線、そして、主演ふたりの演技が光る!

グラント氏、やっぱ凄い好き。器用で好き。
身のこなしが軽くて!巧い!!
椅子からころげ落ちるグラント氏、
ピアノに指を挟むグラント氏、
朗々と歌うグラント氏、
寝室から猛ダッシュで飛び出てくるグラント氏、総じて素敵です。
愛犬家の感じとかも実にラブリー!!!好き!

アイリーン・ダンさんは終盤、美貌に似合わぬ捨て身の演技を披露。
コワレっぷりがナイス。かわいいです。

離婚に向かうふたりをゆるく繋ぎとめるのが、スミスくん。ワンちゃん。
このワンちゃんもいちいち名演技でね、もう、超飼いたい。
賢いうえにかわいいワンちゃんなんて、最高。

犬といえば
とんだかませ犬!みたいな役でラルフ・ベラミー氏が出てくるのだけど、
『気儘時代』でも『ヒズ・ガール・フライデー』でもそんな役ですよ。ベラミー。
フィクションとは百も承知だけど、なんか憐れだわ。
そんな役ばっかり続いたら、私ならグレそう。
ラルフ・ベラミー氏に幸あれ。


絶えずいろんな人がドアから入ってきて、また出て行って、
っていう忙しい展開な上に、みんなよく喋る。
それも、本音は口に出さず、どうでも良いことをペラペラと、
ユーモラスな台詞回しで。
彼らの弾丸トークが理解できるくらいの英語力が欲しい。

じれったくも最高に幸せでかわいい幕切れまで、
とにかく愛すべき映画で大好き!

のっけに「スクリューボールコメディの王道」とかエラそうに書いたクセに、
スクリュー~の代表作と言われてる(?)『或る夜の出来事』未見なの。
地元のツタヤ、いつ行ってもレンタル中なんですもの。
見たいなぁ~。
けどそれ以上にグラント氏にゾッコン!です!
次は何借りようかしら。


『恋多き女』

☆ジャン・ルノワール監督/1956年/フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)がDVD貸してくれた


ルノワーーール!かくも豊穣、かくも偉大!!

主演はイングリット・バーグマン。
公爵夫人なのにお祭りに出かけていってハシャいで、
安いワイン飲んでご機嫌、踊って、笑って。
陽気なバーグマンさんを見ているだけで、幸せになっちゃう。
バーグマンさんの一挙一動が映画をつくる。

そしてやっぱりルノワール作品。官能のつむじ風が吹きすさぶ。
グレコがやさしく歌い出すと、誰も彼もが甘い刺激に身を委ねる。
恋愛至上主義・・・たのしそー!

おとぎ話のように美しいバーグマンさんとその衣装。
セットも、またとんでもない色彩感覚!
テクニカラーに呑み込まれる。
いつまでも見ていたい。


この作品、いろんな恋のさや当てが描かれるのだけど、
私はウージェーヌ氏のボンクラっぷりが気に入りました。
『ピクニック』のあの変な配偶者に似ていて。
こういうコメディリリーフをさり気なく配する、
ルノワール氏の才気こそたたえられるべきかな!!!


恋愛至上主義、いいですねえ実に。
そう。
使命に突き動かされるのではなく、欲望に突き動かされる。
なんて最高なの。

そう原題はElena et les hommes, エレナと男たち、ですね。
「恋多き」というのはあまり適さないですよね、
なんとなく奔放な女性なのかな?とか思ってしまうから。
恋は多くないから、エレナは。

『ゴースト・オブ・マーズ』

☆ジョン・カーペンター監督/2001年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・カーペンターに興味津々で


うわ~。うっとりした~。

舞台は西暦2176年の、火星。人類の一部が火星に移住してる。
某日、犯罪者の身柄を引き取るために渓谷に出向いた火星警察の面々は、
変わり果てたその渓谷の様子に驚愕する。
ひどい所。
なんと!謎の封印がとかれてしまったがために、
住人たちは怨霊的なものに憑りつかれ、首狩り族と化していたのでした!
真人間VS首狩りの人たちの死闘!! という映画。

怨霊に憑りつかれると、主として次のような変化が起きる。
1.英語が喋れなくなる。
2.顔面に傷をつけたり装飾を施したりしたがる。
3.人の首を狩りたがる。

で、こんな感じの見た目になる。
デーモン閣下のお友達というか、KISSの重度なおっかけというか・・・
なんていうの?ヘヴィーメタル?

そのヘヴィメタ連中と戦うのは、火星警察と、そのお仲間。
筆頭はナターシャ・ヘンストリッジ演じる警部補。
ナターシャはレズの女隊長に口説かれたり(この設定要るかしら)、
ジェイソン・ステイサム(a.k.a若ハゲ)に執拗に言い寄られたり、忙しい。
忙しいさなかにもハンサムに死闘を繰り広げる。


感傷的なところが皆無の、潔い映画。
情緒を排してゴーゴーゴー。漢と書いてオトコだねカーペンター。

火星警察たちの過去とか、べったりした人間関係とかも全然描かれない。
その上、それまで頑張って戦ってた人がコンマ2秒くらいでアッサリ死ぬなど、
湿っぽいところが一切無い。非情で非道。
でも変な教訓垂れてくる映画よりよっぽど健全ね。

ダサいセット、ダサい台詞、ダサい登場人物、ダサい音楽、ダサいカット割り。
でも決してそのダサさにうっとりしたわけじゃなくて、
なんていうの。関係ないよパワーみたいなものがグッとくるの。
好きに暴れまわるがいいよカーペンター!って感じで。

ラスト、懸命の爽やかさを以ってウインクをかますアイス・キューブ氏には、
誰もが「ダサっ!」と叫んで身を震わさずにはいられないでしょう。


予告編、英語版の載せたいのになぜかフランス語版しかユーチューブで見つからない。
なんで?私がフランスにカブれてるから??

2013年8月28日水曜日

『サッドヴァケイション』

☆青山真治監督/2007年/日本

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・『EUREKA』があまりに素晴らしくて、もう一回見たくなったので!


『Helpless』『EUREKA』に続く"北九州サーガ"の第三作、らしいですよ!
私はまだ『Helpless』を見てないので、明日ツタヤで借りる!!

公開時に映画館で見たときは細かい人間関係とかよくわかんなかったけど、
『EUREKA』を見たのでだいぶハッキリわかった。
別に続編という感じは全然しないけど、なんとなくスッキリ。
うん。続編ではない!
別の作品として捉えて、ちょっと人間関係を把握する、くらいで良いと思う。

三作共通して出演しているのは、光石研さんと斉藤陽一郎さん。
らしいです。

斉藤陽一郎さんの変わらぬ良さ!良いね、本当良いね秋彦くん!
飄々としていて、北九州に都会の風を持ち込む。
まわりは九州弁だから彼の標準語が引き立つの。
光石研さんに小突きまわされる人の良さも魅力的。
そうそう、斉藤&光石両氏が宮崎あおいちゃんに再会するシーン、
素晴らしいカメラワークに唖然としちゃった。

主演の浅野忠信さんは、陰惨~~ひたすら陰惨。
中国人の孤児や亡くなった親友の妹を保護するなど、
悲しいくらい責任感の強い面もあるんだけど。
『Helpless』を見てないからか、
何が浅野さんをあそこまで陰惨な人間にしたのか、
ちょっと解せないところもあった!!顔もおっかない!

あとコレは『EUREKA』の役所さんにも言えるのだけど、
声ちっっさ!
とんでもなくボソボソと喋る!
それも、こっちからしたら聞き慣れない九州弁を!
ふだんはテレビの音量20くらいで見てるのに、
浅野さんが喋るとこは50以上に上げないとって感じでした!要注意!

そんな浅野さんの前に立ちはだかる母性、石田えり。
石田さんと浅野さんって、実際は13しか離れてないのだよ。
ちょっと親子というには無理のあるルックスな感じがします。

けどそんなことすら忘れさせる、母性。

男の人らは好きにしたらええんよホント。
こっちは痛くも痒くもない。
子どもがおるけんね。

私のような未熟者は、こんな言葉を吐けない。
すべてを受容して堂々とふるまう石田えりには誰も敵わない。
そう、受容よ受容。
受容しよう許そう許して貰おう。

宮崎あおいちゃんの恬然とした身ぶりも素晴らしい。
終盤、オダギリジョーをあたたかく癒す姿に涙。
そうだよね。
梢ちゃんは、かつておんなじように沢井さん(役所広司)を癒してあげたもんね。
受容して、やさしく触れあう。許そう。


劇中、繰り返しながれる音楽、サッドヴァケイション。
ジョニー・サンダース氏(よく知らない)によるもの。
なんとも、なんとも泣かせる曲。

『EUREKA』

☆青山真治監督/2000年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・『共喰い』の予習、あと先日見た『東京公園』すごく良かったので!


この映画を見るために生まれてきたような気さえする・・・
爆裂なる感動!!!!!

とてもじゃないけどうまく語ることはできない。
けどこの映画のことを忘れない限り、どうにか生きていけるような感じ。
ありがとう、青山真治監督!
ありがとう、役所広司さん!
ありがとう、斉藤陽一郎さん!
人生のベストテンに入りました!!

あまりに感動したので、これ以上の言葉は出ません!


2013年8月25日日曜日

『断崖』

☆アルフレッド・ヒッチコック監督/1941年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・ヒッチ強化中につき


ヒッチコック監督×ケイリー・グラント主演、ってことで借りてきた。


箱入り娘が、名うてのプレイボーイに恋をする。
一、二悶着ありつつもふたりは結婚。
しかし、夫の言動に不審な点がめだつようになる。
ついには自分が殺される・・・?!と悩む妻。という映画。

ヒロイン役はジョーン・フォンテーヌさん。
いまひとつ冴えないメガネっ子だけど、恋をして綺麗になる。
ちょっとカタブツ、疑惑に憑りつかれて参ってく妻を、
不安感いっぱいに演じてる。

グラント氏は、無責任男すぎる。
そのくせ植木等のような陽気さや器用さも無い。
一文無しなのにはんぱない浪費家で、
止める止める言うのに競馬を止めないダメっぷり。
最後の最後まで、何を考えてるのかわからないのがミソ。
色男じゃなければ出来ない役柄で、さすがお見事。

ヒッチ先生の不気味な演出も冴えわたる。
ロマンチックなムードから一転して疑心暗鬼になる、
そのきっかけをさり気なく、かつ大胆に配してる。
終盤においてはグラント氏の影がゆれるだけで、恐怖してしまう。

グラント氏が妻にミルクを運んで階段をのぼってくるシーンでは、
ミルクの白さを強調するため、ミルクの中に豆電球を入れたのだとか。
ぼうっと光るミルクと陰影ある顔つきのグラント氏がもう、不気味で。

けどグラント氏がほんとによくわからない人物で、
甘いルックスの裏に隠れてるのは本物のバカなのか?と思えてしまう。
ルックス意外に魅力があまりなかったです、今回は!!


2013年8月24日土曜日

『おとなのけんか』

☆ロマン・ポランスキー監督/2011年/フランス=ドイツ=ポーランド=スペイン

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)がDVD貸してくれた


『タイタニック』のラストシーンにおいて、
レオ様を押しのけて助かるケイト・ウィンスレットにむかって
「オマエは浮きそうだからすぐさまその木片をレオ様に譲れ」
と絶叫した皆様、こんにちは!

ケイト・ウィンスレットのツラの皮は想像以上に厚かったです。
こんな感じの女性に育ちました。ドスコイ!

クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウィンスレット夫婦。
ジョン・C・ライリー、ジョディ・フォスター夫妻。

この四人の言い合いがひたすら続く映画。
最初は夫妻VS夫妻だったのに、女たちVS男たちになったり、
関係が二転三転する。
四人それぞれの人生最悪の日。

ん~、ロメールほど突き放した描き方をしてないので、特に笑えない。
でも、各人のダメさは細かく描写されてる。

クリストフ・ヴァルツ氏のいやらしさが凄くうまかった~。
ずっと携帯電話で通話していて、
周囲を苛立たせていることに無自覚で、お高くとまりやがって、
最低。

ケイト・ウィンスレットは酒乱。

ジョン・C・ライリーは一見いい人そうなのに、プチ狂ってる無骨者。

ジョディ・フォスターは青筋立ててキレまくってて、おっかなかった!

誰ひとりとしてお友達になりたくない。
おとなのけんかは醜いものだわ。

ちょっとした言葉尻のニュアンスとかちょっとした出来事を重ねて
取り返しのつかない展開に仕上がっていた。
絶大な嫌悪感を抱かせる役者たちのキレっぷりは圧巻!
ラスト、携帯電話が鳴るのがせめてものユーモラス。

それにつけても、あんな感じのおとなになりたくないな!嫌悪!!



2013年8月20日火曜日

『盲獣』

☆増村保造監督/1969年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・3年くらい前に知人にすすめられて


増村ミーツ乱歩。
すさまじいど変態映画だ!毒々しい滅びの美学。

主演は、緑魔子さん。ファッションモデルの役。

 
そのファッションモデルの身体に惚れ、彫刻にしたいと想い、
彼女を誘拐する、盲目の自称彫刻家は船越英二氏。
 
なんという目つきだよ。
 
この主演ふたりがとんでもない熱量で演じてます。
緑魔子さん、この異常なドラマに見事にハマっている。
ちょっとここまでの演技は、なかなかできないんじゃないかしら。
激情、蠱惑、エロス!
現代の女優さんで、誰がこの役をこの勢いで演じられるだろう。
 
対する船越氏・・・上の写真の目つきを見てもわかるとおり、
本当にいかれてる。いかれ野郎。
船越さんってノホホンとした事なかれ主義のオジさんとか、
情けない亭主とかのイメージがなんとなくあったんだけど、
いや~ヘンな役だったな~~。
盲目コンプレックスが強くて、マザコンで、「触角の芸術」に拘る。
魔子さんをいやらしくべたべたと触りまくる。
鬼気せまってる。
 
劇中の大部分は船越氏のアトリエが舞台になっていて、
このアトリエというのがまた、とんでもない。
眼球、鼻、腕、脚、乳房、耳のオブジェですきまなく埋め尽くされる壁。
真ん中には、仰向け・うつ伏せ、ふたつの巨大な女体オブジェ。
その巨大なオブジェの上でふたりの異常愛が展開される。
あんな空間に居たら自ずと気が狂うよ絶対。
人として参っちゃうと思う。
 
異常空間で徐々に変化していくふたりの関係性。
最初は船越を翻弄し、船越の母を困惑させる悪女な感じなのだけど、
意を決した魔子さんの狂いっぷりがはんぱない。
毒気に中てられる。
 
ラストの"ブツ切りシーン"の描写に関しては
いろんな意見があるだろうけど、ん~~。
某子温あたりには出来ない演出だと思うけどね私は。
 
魔子さんも船越氏も眼を白黒させたりひんむいたりして、
瑕疵な感じはいなめないのだけど、
まぁあの状況だったらあれくらい狂うだろうよ、とも思った。
 
こんなに暑い毎日、さらにクラクラしたい!と思ったらどうぞ。
 
 
 



『幕末太陽傳』

☆川島雄三監督/1957年/日本

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・下記のような経緯がありつつ、どうしても見たくて


初めて見たのは、21歳くらいのとき。大好きになった。
そんで、2年前、23歳。この映画はリマスター公開されました。
喜び勇んで前売り券を購入しましたよ。それはもう。
そして・・・当時忙しかったのかなんなのか、
気づいたときには上映が終了してましたとサ!
前売り券は無用の長物と化しましたとサ!

そんな悲しい思い出があって、しばらくはレンタルすることも控えてた。
けど、見たくて見たくて。やっと借りてきた。トラウマ癒えたり。


のっけから、映画がフルスピードで走り出す。
台詞をたたみかける人物が次々と登場する。
全員元気。

そしてびっくりすることに、
フランキー堺さんが画面狭しと走り回るだけで、映画として成立してしまう。
縦横無尽に駆け回る彼をえんえんと見ていたい。
彼の身のこなしの軽妙さ、神がかっているね。
適切な言葉が思い当たらないけど、凄みさえ感じる。天才。

あれだけ図々しくて人が良ければ、
ドコに居て何をしてても生きていけるんだなぁ~うらやましい。
そんでラストのやけっぱちな身ぶりも忘れがたい!
願わくは、カメラとか関係なくどこまでも走り去ってくれ!と思っちゃう。

共演者も圧巻。
まずは左幸子さんと南田洋子さん・・・!
お美しいおふたりは大乱闘を起こします。
けっこうな長回しで撮られてて、迫力のアクションシーン。
本当、野次馬の動きまで完璧な構図なのだけど、
ワザとらしさとかあざとさを全然感じさせない、不思議。
江戸弁で啖呵切るのもしびれる~。
啖呵切れる美女って憧れちゃうよ。
いいな、江戸弁かっこいいな。習得したい。江戸弁。

川島組の常連、小沢昭一さんもたいへん元気!!!
あば金!
もう。川島監督とふたりでニヤついてんだろうな!!

石原の裕ちゃんがスターらしくドアップで映るのも楽しいし、
岡田眞澄氏のポンコツっぽい情けなさも最高。


登場人物全員が、全力。超然と生きている。
基本的には楽しくて明るいのだけれども、
根底に流れているのは乾いたニヒリズム。
それが、どこまでも粋に、流れているのですよ。

さあ暴れよう。
地獄も極楽もあるもんけ!
なりゆきで生きよう。


『青い眼のサンタクロース』

☆ジャン・ユスターシュ監督/1966年/フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・『わるい仲間』と同じVHSに入ってたので


これも『わるい仲間』と同様、ナンパ物語!
主演は我らがジャン=ピエール・レオー氏!!



レオー氏、本当に好き。
ちょっと鼻に抜けるような不思議な声、
すっとぼけたような顔。
そう、あんなにすっとぼけられる人は他にいない。
彼が画面のなかに居ると、どこか可笑しみが出る!
『愛すべき女・女たち』の『未来展望』とか最高に大好き。
なんかレオー氏は青春の一部みたいな感じで(勝手に)、
特別な思い入れのある俳優さんだなぁ~~。
そうそうこの作品のなかで、『大人は判ってくれない』のポスターに立ち止まる、
という、ヌーヴェル・ヴァーグ的サービスショットもあるよ。

レオー氏はダッフルコートを欲する役どころ。
そして、女性をひっかけることばっかり考えてる。
ダッフルコートのほうは、バイトでなんとかする。
けど肝心の女性のほうはどうする! みたいなお話。

レオー氏がいそしむバイトとは、
サンタクロースの格好をして写真にうつる、というお仕事。
どの段階でお金が発生してるのかいまいちわからないのだけど。

サンタクロースに扮したら、女性がいっぱい寄ってくる。
調子に乗って、ボディタッチしまくるレオー氏(痛快にセコい)。
けれどもひとたびサンタの扮装を解くと、女性は逃げてしまう。
レオー氏だからこそにじみでるユーモラスさ。
でも、けっこう切実にしんどい。

彼がついにダッフルコートを手にしたときに
仲間にいわれる一言も物悲しい。
孤独さと可笑しさを同時に演ずるレオー氏、
寂しいよ情けないよ。そして素晴らしいよ本当!

サンタのヒゲで、すっとぼけ全開。

『わるい仲間』

☆ジャン・ユスターシュ監督/1963年/フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・そういえばコレ見てないなぁと思って


高校3年生の夏に『大人は判ってくれない』と『勝手にしやがれ』を見て以来、
破竹の勢いでヌーヴェル・ヴァーグの諸作品を見た!
まだまだ見逃してる作品は超たくさんあるけど、けっこういっぱい見た!
けどコレ、ずっと見逃してました。
くわばらくわばら。(誤用)


40分くらいの中編映画。
レンタルでは、『サンタクロースの眼は青い』と同じVHSに入ってます。

主人公は男性二人。
カフェに入り浸って、女の子をナンパするかしまいか・・・
みたいにずっとうじうじしてる。
「オマエが先に声かけろよ!」みたいに言い合ってるのがまた情けない。

カメラワークは自由な感じもするし、厳密な感じもする。
街の風景をなまなましく捉えていて、
ヌーヴェル・ヴァーグよ!!!と興奮してしまう。
けど、結果的にいえば彼の早すぎる死を知っているから、
どこか寂しさが漂っているような気がしてしまう。

中条先生によると、ユスターシュは自分の愛する映画監督として
ルノワール、ラング、ドライヤー、ブレッソン、ギトリ、
そしてとくに溝口の名を挙げている、とのことです。
ミゾグチさん、2作か3作しか見たことないなぁ~。
ゴダールもミゾグチミゾグチ言ってるし、見たいのですけどね。
そのうち見ようっと。

『ピザボーイ 史上最凶のご注文』

☆ルーベン・フライシャー監督/2011年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・ジェシーくん見たさに


私は本来なら、どんなに容姿が素敵だからって
「○○さんが出てるからこの作品を見よう!」みたいなことがほぼ皆無です。
(○○にあてはまる殿方・・・西島秀俊さん、永瀬正敏さん、綾野剛さんetc.)
けれどもなぜか、空前のジェシーブーム。
とりあえずジェシーくん見たい!という邪な気持ちで借りてきました。
それも、ブルーーーレイをね。よりキレイに見たくてね。

で、監督は、先日見た『ゾンビランド』の人なの。
『ゾンビランド』おもしろかったから、コレもそれなりに期待しちゃう!ってことで。

でもまあおもしろくなかったねー見事に。それはもう。全然。
コメディとしてもあまりおもしろくないにも関わらず
別にスリリングでもない、という感じでね。
ジェシーくん出てなかったら確実に見ない。ひゃくパー。

良かったと思うのは、ジェシーくんの相棒役、アジズ・アンサリ氏かな~。
絶妙な間合いのしゃべくり芸、あと表情がいかしてた。器用そう。
ジャド・アパトーと組んでるみたいだから、今度それ見てみようかな。
という感じに、収穫はあったので、良しとします!!


ジェシーくんは素敵でした、もちろん!
彼の魅力って、「男前ではない」ところだと思う。
背も低めで猫背で、なんか、珍奇な趣味とか持ってそう。
猫とか大量に飼ってそう。知らないし、別に何匹飼おうと全然かまわないけど。
本当の人柄なんて知ったこっちゃないけど、
その雰囲気を自然と演技に昇華できるのは、少なくとも良いところだと思う。
実社会ではモテるクセに(←やっかみ)「モテない男」を演じきれる。
この作品でも、ダサすぎるピザ屋Tシャツが死ぬほど似合ってるからね。

ジェシーくんを追いつめる二人組は、
おめでたいほど単細胞でボンクラでスカタンで、
エンドロールが終わったあとに初めて報われる感じ。
そう、エンドロール終了後もお見逃しなく!


この世に数限りなく存在する映画、
死ぬまでにすべてを見ることは不可能だから、どの作品を選ぶかは自分次第。
ちょっとしたハプニング(=ジェシーくん)によって
私はこの映画を見ることになったけれど、彼がいなければ決して見ることはなかった。
そういうふうに世界が広がっていくんだ、きっと!(ポジティブ!)

2013年8月18日日曜日

『北北西に進路を取れ』

☆アルフレッド・ヒッチコック監督/1959年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・先輩(束原さん)にすすめられて


最初にひとこと、ブルーレイってほんと綺麗だなぁ~!


ヒッチコック氏の作品は全然見てなくて、
たぶん10作見たか見てないか・・・くらい。
ヌーヴェル・ヴァーグにカブれてるクセにね。不届き者!

で、とってもひさしぶりに見たヒッチコック監督作品・・・
べらぼうにおもしろい!!!!!!
びっくりした。参っちゃった。
これから毎週一本くらいのペースで見たいな。

基本的にはサスペンスだけど緩急がついてて、
ちょっと緊張感を削いだ感じになることもしばしば。
エヴァ・マリー・セイントとのうっとりしちゃうラブロマンス、
そしてケイリー・グラントのユーモラスな演技が最高!

ケイリー・グラントって本当偉大ですね。
私は『ヒズガールフライデー』『モンキービジネス』『赤ちゃん教育』
あたりが大好きで、ホークス映画にグラントあり!って感じだったけど、
ヒッチ作品でも際立って魅力的だった。
市井の男がスパイと間違われてトラブルに巻き込まれる。
突然あらわれた美女にフラつきつつも、
よどみなく、少し頼りなげに、事態をかわしていく。
素晴らしい俳優さん。好きです!!

エヴァ・マリー・セイントは、なんというか、肉食!
グラント氏を誘い出す手練手管・・・あんなの美人にしかできないよ!


練りに練られたプロット、バーナード・ハーマンの音楽、
大胆な編集、しゃれた台詞。
すべての要素がおもしろい。
ラストシーンなんて一杯喰わされたね。鮮やかな幕切れ!

ヒッチコックは神格化されるがあまり、
なんとなく興味の対象から外れていたのだけど、
そんな狭隘な思想では勿体ないって、イヤというほど知らされた。
彼の天才を惜しみなくたたえよう!

『ヴィレッジ』

☆M・ナイト・シャマラン監督/2004年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ホアキンフェニックスとジェシーくんが出演してると嗅ぎ付けて


嗅ぎ付けてもクソも。ウィキペディアで得た情報ですけどね。
あと最近気づいたんだけど、「なぜ見たか」って、「見たかったから」以外ないね。


シャマランかシャラマンかいっつも分からなくなる。
いい覚え方ないかしら。
この人の作品はほぼ見たことないのだけど、
以前『アンブレイカブル』を見たらとってもおもしろかった!!
ので、コレも期待してました。

まず言うとジェシー度はとんでもなく、それはもう、低い!
セリフは計4つくらいで、出演時間も計2分くらい。
セリフ言い終わったあとは、たま~~~に見切れるくらい。
けどそのなかで冴えなさの片鱗が見えて、うれしい。かわいい。
で、ジェシーくんへの言及は以上。

ホアキン・フェニックス氏。
この人はたぶん本当に繊細なのだと思う。
ささやくような口調と思いつめたような表情。
やっぱりこういう演技は彼にやらせたら天下一品だね。

ホアキン・フェニックス氏の彼女役は、ブライス・ダラス・ハワード。
かの大傑作『ヒア・アフター』でマッド・デイモンがかよう、
変態チックな料理教室で出会う女性ですね。
小動物のようでキュート。
この人が盲目である、という設定がキーになる。

あと、エイドリアン・ブロディが出てた!
発達障害みたいな感じなのだけど、うまいねどうも。この人も。


映画において「そりゃないよ」ってことはたくさんあるけど、
それをねじ伏せるのが監督の演出力だと思う。
すぐれた演出をしてくれると、「そりゃないよ」ってことも、
難なく見過ごせてしまうから。

『ヴィレッジ』はどうもそこが、よく分かんなかった!!!
説得力がない!
まあ、お話はおもしろいのだけどね!
そうそうこのオチを見て改めて、閉鎖的な空間というのは怖いと思った。
だから私は都会が大好きです。


『私立探偵濱マイク 名前のない森』

☆青山真治監督/2002年/日本

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ユリイカを借りようとしたらなくて、
           でも青山監督の作品を見たい気分だったので


青山真治監督、もうじき『共喰い』が公開されますね。
先日見た『東京公園』がとっても良かったから、期待!
そんで『ユリイカ』は見たことないから、次いったら借りる!!

これは濱マイク第6話の映画版。
濱マイクのドラマ、全部は見ていないです。
何作か見て、私はいくら永瀬さんが好きとはいえ、
とってもつまんないやつもあったので!
けど『名前のない森』は傑作!

全エピソードのなかで最初に撮影されたからか、
濱マイクの仲間たちがほぼ出てこないところがまず良い。
あの内輪感はちょっと気持ち悪いですからね。
唯一でてくるのは、金貸しの山本政志さん。
妙な凄みを醸し出してる・・・


名前のない森。
「先生」と呼ばれる鈴木京香が仕切るその自己啓発セミナーの施設では、
受講者はそれぞれに「本当にやりたいこと」を探している。
そこでは、固有名詞を排除され、番号で区別される。
"名前"が短い呪文であるなら、
それを剥ぎ取られて"無"に帰すほうが楽なのか???
けれどもその施設をおおう絶望感は途方もないもので、
吐くほど出たい、でも、出るのは怖い、って感じ。
この閉塞感のなかで、唯一破天荒に振舞うマイクが救い。
けれども、静かにザワつく森が妙に不安をあおる。


濱マイクの、ひいては永瀬正敏氏の魅力というのは罪深いね。

派手な服装、黒マニキュア、ラバーソール、ピアス、大量のゴツイい指輪・・・
普通に考えたらそんなカッコする男性はちょっと無理なのに、
あのかっこよさはなんなのだろう。
絶対にマネしてはいけないと思う。
大塚寧々さんと緊密に会話をするシーンなんて、二度見だよ。

濱マイクは永瀬さんのライフワークみたいな感じで、
また続編とかやってほしいなぁ~。
最初の映画版は「若造」って感じで、あれはあれで好き、私は!!!

『贖罪』

5話もののドラマです、5話分いっきに~~。

☆黒沢清監督/2012年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(DVDを得た)

☆なぜ見たか・・・かねてから気になってたのだけど、DVDを得たので。
           間断なく全話見た!


黒沢清監督は、世界でも指折りの天才です。
世界に誇るべき日本の財産だと、改めて確信。

見てない人は一刻も早くツタヤにダッシュだ!
公式サイトはこちら!!!
これWOWOWで毎週放映されてたのですよね。
黒沢清監督の新作が毎週見られたなんて、すごい状況だな。

全編にわたって言えるのは、
とにかく(黒沢清監督の)映画並みの濃密さ、完成度の高さ。
くすみがかった不穏さや廃墟っぽい空間デザインや、黒沢節全開!
WOWOW制作だからこそ、
ある程度撮りたいように撮れたんだろうなーという感じ。


15年前に起きたエミリちゃん殺人事件。
そのときにエミリの母(小泉今日子)に"呪い"をかけられた4人の少女。
4人の15年前と現在が、それぞれ語られる。
以下、1話ごとにちょっとずつ感想を述べます!

第1話『フランス人形』
主演は蒼井優さんと、森山未来さん。
このふたりの新婚生活が・・・
こんなものをテレビで映していいのか!!っていうおぞましさ。
森山未来くんうまいなぁ~~~気持ち悪いなぁ。
蒼井優さんもキャリアのなかでトップレベルに魅力的だと思う。
そして小泉今日子様の無表情!
三人とも不吉なルックスで、しびれちゃう。
怪奇映画のような、デカダンスな魅力。

第2話『PTA臨時総会』
主演は小池栄子さん。
凍りついたような、思いつめたような顔で、ファーストショットから戦慄する。
そして手紙をしたためるシーンは
あの素晴らしい『接吻』(万田邦敏監督)を思わせる。
(小池栄子さんがアデルになった大傑作!)
もうひとつ、第2話で注目すべきは、手に汗握るアクション性!
人間の内面に関するドラマとこの活劇が見事にリンクしている。
そして、タナベ先生の歪みきった人間性が生み出す、
どこまでもまがまがしいラストシーン・・・
人類はこれ以上にまがまがしいものを見たら確実に発狂する。
小池栄子さんの才能を皆でたたえよう。

第3話『くまの兄妹』
主演は安藤サクラさん。
怪演・・・!怪演という言葉すら陳腐に思えてくるくらいの!
おっかない!彼女の走り方の気味悪さは前代未聞!
この話のなかで安藤サクラさんは、他人に二度、洋服を貰う。
その二シーンは見事に同じ構図で撮られていることを、見逃してはならない!!
わるーーーい予感がする。
なんとなくホームドラマっぽく始まった、と油断していたら、
奈落の底にたたきつけられるよ!
安藤サクラさんの演技はコレと『愛のむきだし』しか見てないので、
ただただおっかないっす!
(ついでにいうと最近『まほろ駅前~』を見たので、
 安藤サクラさんと柄本佑氏のご夫妻は、私の中で「怪奇!」って感じ!)
加瀬亮くんがいまひとつだったような気もするのだけど、
気持ち悪さは光ってたわ。

第4話『とつきとおか』
主演は池脇千鶴さん。
前作までの3話の女たちに比べると、とってもしたたかな女性。
池脇千鶴さんって全然出演作品見たことないのだけど、
なんとなく清純派のイメージでした。
けどこの作品!ニンフォ!びっくりだ。
こういう女いかねないよねー、っていうリアルさが恐ろしい。
そして長谷川朝晴さんもリアルなダメさ。
男の人全員に見てほしい、そんで全員震え上がるがいいよ。
俳優から最高の演技を引き出す、黒沢清さんのずば抜けた演出力に感服!!

第5話『償い』
主演は小泉今日子さん(彼女は全エピソードに出演)。
これまでの4話は、誰が、どうしてエミリちゃんを殺したのか・・・
という謎を宙づりにしたまま語られた。
いよいよ、第5話でそれが明かされる。
けれども謎が解明されることの爽快さなどとは、やっぱり無縁。
フラフラと歩く小泉今日子さんを、ショッキングな気持ちで眺めつつ、
ただただ精根尽き果てるのみ。
フリースクール経営者(香川照之さん)も歪みまくってるのだけど、
あくまでさりげなく演出されているので、恐怖がじわじわと迫りくる。
人間の業の悲惨さに言葉もなくなっちゃう。


全エピソードが大傑作という、驚くべき連続ドラマです!!!


『黄金の馬車』

☆ジャン・ルノワール監督/1953年/フランス=イタリア

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ツタヤで突発的に「ジャンルノワール見たい!!!」と思って


ルノワール作品にはすべてが詰まっていて、
それはもう、人生そのものなのだよ。
奇跡と言ってさしつかえないのだよ。
度胆を抜かれること請け合いなのだよ。

こんにちは。
こんなにもエラそうな感じで書き出しといて、
その実ルノワール作品の半数も見ていない不届き者です。

けれどもたしかに言えることはこれは、
生きててよかった~~と思える映画だってこと!


18世紀の南米スペイン植民地。
そこに、イタリアから仮面劇の一座がやってくる。
そのヒロイン、カミーラ(アンナ・マニャーニ)を取り巻く3人の男。
舞台と現実がないまぜになって、恋のさやあてが展開される。


高らかに、豪快に笑うカミーラを見ているだけで
人生を肯定したくなる。
でも、求める幸せの形はわからなくて、フラついてばっかり。
何かひとつを選ばなきゃいけないなんて、酷だよ。
舞台の上と下、どっちが人生なのだろう。

この傑作に言葉は要らない、本当に。
かくも豊穣で偉大なルノワールワールド!(ワールワール!)
幸福感と寂寥感が一気に押し寄せる。色彩が狂奔する。
ありがとう、ルノワール。





2013年8月17日土曜日

『できごと』

☆ジョゼフ・ロージー監督/1967年/イギリス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ちょっとしたロージーブームで


ロージー監督、そしてダーク・ボガード出演!
ってことでハリ切って借りてきた!

何なのでしょうね。このけれん味は。
意味ありげな構図や胡散臭い登場人物。
不自由な映画だと思う。
でも魅せられてしまう。

今回のボガード氏は、妻の妊娠中にフラつく役どころ。
ちゃっかり昔の女と会ったり生徒にちょっかい出したり、
でも抜かりな~い!って感じじゃなくて、情けない。
かっこわる~い!そして弱々しい。
うーん、男性ってこんな感じなのね?ひとつお勉強になったよ。
四十代なのに惑いまくりの男性を、またボガード氏がお見事に演じてる。

そして、女生徒役はジャクリーヌ・ササール。
シャブロル監督『女鹿』でおなじみの!!
オーストリア訛り?のフランス語が胡散臭さぷんぷん。
ファム・ファタールとも少し違うと思うけど、つかめない女。
人間関係に波紋を起こす女。
この人の容貌って、ロージーの世界にハマってるなぁ。

昔の女役、デルフィーヌ・セイリグも魅力的。
声が、顔に似合わないキュートさで好きです。
そうそうこの人とボガード氏の再会シーンも妙な演出で、
ふたりは黙って見つめ合ったり飲酒したりしてるのに、
画面外からふたりの会話(超ゆったり)が聴こえてくるという・・・
ちょっと気持ち悪い感じ。
雰囲気に浸るふたりを、あえて冷静に見てしまうような。
ほんと妙なことするね、ロージー監督。

いけすかない同僚役はスタンリー・ベイカー。
実際にいけすかない顔で、うまいなと思った。


なんか男の人と一緒に見たら、気まずい感じになりそうだな。
そんくらい、ボガード氏の弱さと黒さがリアル。

2013年8月16日金曜日

『ゾンビランド』

☆ルーベン・フライシャー監督/2009年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(古賀くん、こややetc.)にすすめられて


3年前のちょうど今頃だったと思う。
古賀くんから突然、
「人生最高の映画みた・・・」っていうメールがきた。
それが、この映画。

人生最高の映画がゾンビものだなんて
さすが古賀くんは気持ち悪いなあと思っていたけど、
いろんな人がすすめてくれるし、
私の好きなジェシー・アイゼンバーグ氏も出てるし、
やっとのことで見ました。

そう。ジェシーくんによると、
仲間が居ないなんて、ゾンビと同然なんですって。
大事にするよ仲間を、私も!


私は本当にグロテスクな描写が苦手なのでゾンビ映画は初体験。
結果からいうと、やっぱり気持ちの良いものではないね(当たり前)。
ぞうもつっぽいものをしゃぶってるのとか見たくないの、なるべく。

けどこの映画はおもしろかった~。
ゾンビはあくまでサブプロットというか、口実に使われてる感じ。
基本的にはコメディでロードムービー。

人類がほぼ絶滅してゾンビだらけになった世界で、
生き残ってる人間たちが出会ってひと悶着・・・というお話。

ゾンビ以前からひきこもりがちでネットオタクで童貞のジェシーくん。
(ジェシーくんて童貞という設定が多いね。)
サイコかつ繊細なマッチョ、ウディ・ハレルソン。
詐欺師の姉妹。

このロクでもない4人。
それぞれにトラウマがあるがゆえなのか、
数少ない生き残り同士なんだから助け合えばいいのに、
全員が人間不信気味で自分勝手。
本名すら明かし合わない匿名社会。
(だからこそ終盤、ヒロインが本名を明かすシーンは、
 裸を晒されるくらいのドラマになる)

それにつけてもジェシーくんは良いね、改めて。
若干の気持ち悪さを以って、飄逸なオタクを演じている。
彼はダスティン・ホフマン氏に通じるかわいげがあると思う。
末永くがんばってほしいなぁ。


基本的にはゾンビを殺し続け、ゾンビから逃れる旅なのだけど、
ところどころで訪れる「ひと時のユートピア」が
この映画に不思議な幸福感と充足感をもたらしてる。
たとえば、無法地帯となったドライブ・インで彼らは民芸品を破壊しまくる。
それはもう、誰に怒られる心配もなく。とっても爽快~~。

次なるユートピアはビル・マーレイ宅。
いいね、おいしいねビル・マーレイ(本人役)。
彼のユーモラスな悲壮感に不謹慎な笑いが漏れる。
もうひとつ言うとビル・マーレイ宅でポップコーンを放るジェシーくん、
好きだよ!!!
(言い忘れてたけどヒッチハイクシーンも好き!!!)

最後に逃げ込むのは遊園地、ここでもひと時の夢を見る。
けどきらびやかなネオンにはゾンビ(元人間)も惹かれるらしく、
遊園地にゾンビが大殺到!
不注意な詐欺師姉妹にちょっと唖然としちゃう。
もうここからはウディ・ハレルソンの一人舞台だね。
かっこいい~。
サイコパスだけど面倒見が良いの、ウディ・ハレルソン氏。


オチはかなりアッサリして、ぱっと終わる。
そして全体的に演出はかなり煩いけど、
初めて見るゾンビものとしては良かったと思う。
ゾンビ映画ってみんなあんなハイテンションなものなのかしら。
ゾンビが追っかけてくる際の無能っぽさと獰猛さ、おもしろいね。
(別にゾンビ映画を深く掘り下げる気はないけど!おっかないから!)


ジェシーくん、ちょっとしゃべり過ぎだったけどやっぱ好き。
彼の出演作品、次は何見よかな~~~。




『コラテラル』

☆マイケル・マン監督/2004年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ゲオレンタル)

☆なぜ見たか・・・マイケル・マン監督作品を見たくて


これはおもしろい!見てよかった!
トムクル、やっぱいいね!

全編にわたってLAの夜で、それがなんとも、
ムーディーで艶っぽく映ってる。
そんななかでスタイリッシュで非情なトムクルが、よく喋る!
殺し屋なのにね。ペラペラとのべつまくなしに喋る。

オシャベリなトムクルの犯行に巻き込まれるのは、
ジェイミー・フォックス演じるタクシーの運転手さん。
最初の乗客とのやり取りで、みんなが彼に好感を持つ。
なんだか彼の魅力を深く知れた気がするよ、この映画のなかで。

何もかもが対照的な二人が出会い、
少しずつ変わっていく関係性に目が離せない。

そう、脚本が素晴らしい!
120分ダレ場なしで、とにかくどんどん続き見せてください!!って映画。
走り出してもう止まらない。
一瞬まったりするのかな?と思ったジャズバーのシーンなんて、
もうひっくりかえっちゃう。
銀髪のトムクル、食えないヤツ!!
そんで凄い姿勢良いねトムクル。アクションシーンもキマってる。

とってもおもしろいので見てない人は見たらビックリすると思う~。
トムクル主演のハリウッド大作とはいえ、
アンチハリウッドみたいな人も楽しめるような感じがする。
諸要素を大胆にカットしてるけど、有無を言わさない御都合主義です。
映画館で見ればよかった~(9年前だけどね)



2013年8月14日水曜日

『トップ・ハット』

☆マーク・サンドリッチ監督/1935年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ゲオレンタル)

☆なぜ見たか・・・アステア様不足を感じたため


せーの、
「アステア様のほかに、神なし!!!」
でおなじみの、フレッド・アステア様。



彼の軽やかなステップを芸術を呼ばずして、何を芸術と呼ぶのでしょう。
何もかもを、いかにも軽々とやってのける。
アステア様の魔法のようなステップを見ていると涙がでてきてしまう。
なんたる粋・・・
彼のステップを30秒見ても心を惹かれない人がいたら、
お近くの葬儀屋にご相談を・・・と思っちゃうね。

夢のまた夢のまた夢って感じって感じって感じだけど、
私は一度でいいからアステア様と踊ってみたいよ。
けど、現世でカブってないのでね(アステア様1987年没、私1988年誕生)。
天国or来世で、ぜひ!

アステア様が好き過ぎて、
一定の頻度でアステア様のダンスを見ないと、
アステア様不足に陥り、不幸に見舞われるような気さえする。
さあ!アステア様の天才を皆で称えよう!!

今回は自分の部屋のちっさいテレビで見たけれど、
ほんと言うと彼のステップは、
スクリーンで見るとさらに圧倒的な感動をもたらしてくれる。
アステア様作品の常打ちの名画座とかあればいいのに~。


『トップ・ハット』、ストーリー自体はどうということもない。
アステア様がジンジャー・ロジャースと出会い、
度重なるすれ違いを超えて恋愛成就、というパターン。
だってアステア様の映画においてストーリーなんて、
彼の驚異的なダンスを堪能するための口実に過ぎないもの。
ほんと、つまんねえお話!

けど彼のダンスには必然性とかストーリー性があるから。
帽子掛けと踊ったり、天井を歩いたり、催眠ダンスを踊ったり。
だからつまんないお話でも全然いいです。

とにかくあの軽妙さと華麗さは、言葉にあらわせない。
「見てください」としか言えない。
ジーン・ケリーも良いんだけど、あのドッシリ感はちょっとね。

そしてアステア様、歌も素敵。
声量が凄いわけではないけれど、とっても伸びやかで。好き~。

マーク・サンドリッチ監督は何作もアステア様の作品を撮ってて、
さすが偉いなあと思うのは、カメラを余計に動かさないところ。
カットをこま切れにするなんて言語道断なマネはせず、
アステア様のステップを心ゆくまで堪能させてくれる。

相手役はおなじみジンジャー・ロジャース。
ふたりの息の合ったダンスはまばたき禁止でしょう。
ふたりは何度も共演しているけれど、
お互いにプロ意識が高すぎて、決して馴れ合いにならなかったそう。
きわめて、プロフェッショナルな関係だったそうです。
(アステア様に目覚めた大学生時代、自伝読んだ)


ああ、どれだけ言葉を尽くしても届かない。
アステア様を見て、芸術&天才について本気出して考えてみよう。
アステア様のダンスを見ないだなんて、不幸な人生の幕開けだよ。



2013年8月9日金曜日

『クライ・ベイビー』

☆ジョン・ウォーターズ監督/1990年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ゲオレンタル)

☆なぜ見たか・・・『パブリック・エネミーズ』を見たら、若きジョニー・デップを見たくなって


ワーイ!元気いっぱいになっちゃう!

1954年のボルチモアが舞台のミュージカル映画。
山の手のお嬢様と心優しき不良少年が恋に落ちる。

それまではアイドル路線で売ってたデップくんが
「カルトの帝王」ジョン・ウォーターズ監督作品に出るってことで、
とってもイキイキと弾けていて楽しい感じ。

とんでもなくリーゼント
「流すのは一粒のしょっぱい涙。そいつがクライ・ベイビーの涙なのさ!」

ことあるごとに透きとおる涙を流すジョニー・デップ氏、
なんか・・・キュートだ!!!
けどキスシーンは妙になまなましくて、見ていてお恥ずかしい!

そしてミュージカルシーンでは踊るデップも見られますよ。(歌は吹き替え)
ダンスはみんな素人芸レベルなので、バカっぽさがより強調される。
特に囚人たちが歌って踊るシーンなんて、ノリ勝負って感じで楽しい~。

そうそう囚人で思い出したけど、
ジョン・ウォーターズ監督はこの作品を撮るにあたって、
エルビスのミュージカルをイメージしたそうです。
エルビスの映画よりおもしろいと思うんですけどね。
あと、ミュージカルシーンは『女はそれを我慢できない』にヒントを得たとか。
ジェーン・マンスフィールドさん主演のアレですね!好き!!
たしかに派手で楽しい演出、通じるものがあります!!

「脈絡なく歌いだすし踊り出す」、「ワザとらしい」という理由で
ミュージカル映画を敬遠する人がいると思う。
そんでこの『クライ・ベイビー』、その二点がおもしろいくらい強調されてる。
脈絡のなさ!ワザとらしさ!って感じで。
そこがジョン・ウォーターズ監督の食えなさで、
なんか遊ばれているような気になってしまいます。
迎合しないこの感じ。

里親募集の施設とか、「3D映画」の場面とか、
ちょっとのどに痞えるような悪趣味な笑いももちろんありつつ、
やっぱりカットさばきは見事だし、キャラクターも魅力的。

そう、トレイシー・ローズがセクシーな魅力をふりまいてるのも良いし、
アリスン(ヒロイン)役のエイミー・ロケインもかわいい~。
アリスンちゃん、清楚なファッションも不良ファッションも両方いけてる!
けど彼女、他の映画で見た記憶なし!

当時のジョニー・デップアンドジョン・ウォーターズ

ローンレンジャーとか見て喜んでる人は、この映画を見るがいいよ。
これがデップの魅力なのだよ!!
(ローンレンジャー見てないからどんなもんか知らないけどね)

サントラ、レンタルあるかな?曲とってもいい感じ!聴きたいなぁ~。
ジョン・ウォーターズ監督作品のなかでも、コレは見易い感じで大好きな映画。
彼も「カルト」の一言で片づけちゃダメですね。


『ZOO』

☆ピーター・グリーナウェイ/1985年/イギリス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・『コックと泥棒~』を見てたいへんおもしろかったので!


最初のカットからどきどきしちゃう。
この人に対して「カルト」とか言うのは、あまり相応しくないと思う。
相当高度なセンスに裏打ちされてるから、本当に・・・!

なんだかストーリーはよくわからなくて、
双子の動物学者が絶えず生物の進化について語っている。
その議論は、自分たちが「進化」の一端を担う(?)ことで完結する。
うーんでもよく分からない。
たぶん私、あまり分かろうとしていないのだけれど。

だって最初に起る交通事故で、「車」と「白鳥」が衝突するのです。
白鳥を避けようとして・・・とかではなく、クラッシュ。
運転していた女性は助かり、後部座席のふたりは死んでしまう。
え??て感じ。

こういうのをいちいち、「白鳥はナントカの象徴で~」みたいに、
したり顔で説明することにあまり意味を感じません。
グリーナウェイの映画はペダンティックとか言われているけど、
はたして本当にそうかしら???
無理にでも意味づけて語ろうとするほうがよっぽどペダンティックでしょう。
そんなセコい感じで映画を見ることなんて、私はしません!!

要するにワケわからなくても気にしないし凹まないし、
おもしろかったり、心がざわついたりすればオーケーじゃないでしょうか。

そういう意味で『ZOO』、心ざわつく映画。
おなじみマイケル・ナイマンの音楽がざわつきを加速する。
本当、グリーナウェイのつくる映像にここまで合いますか!ってくらい、
このふたりの出会いは映画史上の幸運ですね~~。

どこまでも左右対称に作られた画面も偏執的。
現実感のないセットのなかで、
登場人物の誰も人間らしい感情を持っていないみたいに見える。
共感もクソもないよ!って感じ。
主演の双子がだんだん似てくる(ように見える演出)も不思議。
あと、グリーナウェイ作品の出演者たちは、
みんなとっても声が良く滑舌が良いと思うのは気のせいかしら。
イギリス英語がドーン!と響く感じで、耳にも戦慄的な心地よさがある。

あと裸体がよく出てくるのだけど、ボカシが大きすぎてなんか笑いそうになる。
(グリーナウェイさんの意図ではないわ、これは)

いいよねグリーナウェイさん。
新作撮らないのかな~。
あと、シブツタにある『英国式庭園殺人事件』のビデオに
「一部映像が乱れますがご了承の上ご利用ください!」
みたいに書いてあって、いつも借りるのを躊躇してしまう。
どうせ見るなら、映像の乱れがないのを借りたいな。
三茶か新宿にあったかしら。探してみよ~~。


↓↓↓コレ!↓↓↓ ユーチューブから拾った、タイトルシークエンス。
かっこいいし物語が完ぺきに走り出してるーー!!!

2013年8月8日木曜日

『アドベンチャーランドへようこそ』

☆グレッグ・モットーラ監督/2009年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ジェシーくん見たさに


お知り合い(中山さん)が教えてくれた映画。
日本ではDVDスルーのよう。

ジェシー・アイゼンバーグさんが好きです。

男前!って感じじゃないけど、琴線にふれる。なんか好き。
ミア・ワシコウスカちゃんとお幸せに。(余計なお世話様)

この作品、ジェシーくんの魅力が満載です。ありがとう監督。

なんかもう・・・・・・ダサい!!!
恥ずかしくなるくらいダサくて、甘酸っぱいとか言ってられない。
さえないダサ坊ジェシーくんが恋愛にうつつを抜かす感じ、
直視できないダサさ!
他人事とは思えないダサさ!!
けどそこがいい!

ダサさを自覚してるジェシーくんの飄々とした演技、
いいコメディアンっぷりだと思う。
『ローマでアモーレ』も良かったなぁ彼。コメディの間合いが。
出演作品もっともっと見たいー!好き!
やっぱり『ゾンビランド』見ないと!!!

ヒロイン役はクリステン・スチュワート、
ちょっと蓮っ葉な女の子をキュートに演じてる。
けど終盤ずっと反省モードで、うじうじし過ぎ。

そして「アドベンチャーランド」の支配人夫婦がとっても楽しい!
絶妙な掛け合いで、映画を盛り上げてくれる。
低賃金でダサくて最低のバイト先、みたいな設定なんだけど、
全然いいじゃん。
恋したりパーティーしたり、みんな楽しそうでうらやましいよ。
もっとイヤなバイトをイロイロした気がするよ私は。


この監督の作品は初めて見たのだけれど、
いけてない感じが好きでした。
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(なんというタイトル)、
『宇宙人ポール』見てみたいな。

『宇宙人ポール』といえば、池袋パルコで青空上映やりますね。
お盆、東京に居ないのに・・・残念。


最後にひとこと・・・
ジェシーくんとリサ(イケイケ女)のキスシーン、
かわいかったー!
ジェシーくんナイス!!

2013年8月7日水曜日

『ニッポン無責任時代』

☆古澤憲吾監督/1962年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・2年くらい前に、お友達(眞鍋くん)にすすめられて


ポジティブでいいなぁ。
こんなふうに生きていけたらいいなぁ・・・

と誰もが思うこと請け合い。

宴会芸が素晴らしいからという理由だけで、渉外部長に抜擢。
お調子者が勝つように世の中できてますよね。
けどなかなかお調子に乗れないしね。

いくら映画のなかとはいえ、
あそこまでお調子に乗ってくれるともう清々しい。
何度会社をクビになってもやさぐれず、
むしろスッキリした顔でいられるなんて。メンタル強っ。
当時のサラリーマンは、
元気な平均(たいらひとし)を見て鬱憤を晴らしてたのかしらね。

無責任なC調野郎、平均を演じるのは、御存じ植木等氏。
この人が暑苦しく走り回るだけで元気になれる感じ。
いかにも実直そうな植木氏があの役をやる、
っていうのがおもしろいと思う。
やっかまれてもおかしくないキャラクターなのに、
植木氏が演じると愛すべきナイスガイになってしまうという不思議。

私はクレージーキャッツの何たるかもよくわかっていないし
メンバーも何だかよくわかっていないくらいの不届き者なのだけど、
劇中のパフォーマンスは文句なしに楽しかった。
次ツタヤいったらCD借りてこよう!!!
「五万節」とか私もビール片手にみんなで歌いたいなー!
誰か一緒にクレージーごっこしましょう~(ネーミングがまずい)

あと、植木氏を取り巻く3人の女。
三者三様に明るい魅力を振りまいてくれるけど、
特に中島そのみさんが「おきゃん」って感じでいい味出してる。
いいよね、おきゃん。


実社会ではうまくいかないことばかりだけど、
また植木等氏の映画を見て元気をもらおう。
嗚呼!無責任に、テキトーに(&少しおきゃんに)生きていきたい!


コレ! ↓↓↓
この予告編も楽しいな!

2013年8月6日火曜日

『召使』

☆ジョゼフ・ロージー/1963年/イギリス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)にすすめられて


ショッキング!!!
「主従関係」というのは古今東西、
少し甘美で危うくて、脆いものなのだなぁと思う。

座ってる者と立ってる者、
上の階に居る者と下の階に居る者。
上下関係を視覚化するような構図のなかで、
倒錯的な人間関係が展開する。

「召使」役は、ダーク・ボガード。
ボガードが仕えるのは裕福な青年、ジェームズ・フォックス。
そこに介入するのがサラ・マイルズ。

ダーク・ボガード氏すごい!すごーい!
スマートで隙のない、でもどこか胡散臭い召使が、
どんどん厚かましくなっていくのを巧みに演じていました!
なんとなくホモ臭がただよってるのも怖い。
この人の分厚いツラの皮は、誰にも剥がせない。

ジェームズ・フォックス氏のナヨナヨっとした感じも実にいい!
ちょっと他の映画で見た記憶ないなぁと思ったけど、
ウィキペディア見たら『ミスター・ロンリー』に出てたのね。
全然覚えてないなぁ~。
『召使』ではボンクラ青年を演じていますが、んーかっこいい。
この人になら私も仕える!

右がボガード、左がフォックス。あやうい。

そうそう、この「鏡」が多用される。
魚眼レンズで覗いたような歪んだ世界。
シャープなモノクロ画面がいけてる。


ヒロイン(???)のサラ・マイルズは、とんでもない役・・・
アサイーはかわいいって言ってたけど・・・
下品!って感じの役柄で、見ためはかわいいけど、
しゃべり方とかも無教養で野蛮な雰囲気でした・・・
ダーク・ボガードとの危険な関係にゾクゾクしちゃった。


ロージーロージー、ロージーの映画もっと見たいなぁ~!
只者ではないという感じ!食えないヤツ!!!

『LOFT』

☆黒沢清監督/2005年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・先日見直した『CURE』があまりにも良くて


もう!本当に怖かったけどそれ以上に変な映画でした。

なんなんだろう、この変な感じは。
まず編集が変。
ジャンプカットもどきみたいな、妙なショットが頻発。
それも、まだ盛り上がっていない「序章」のような部分で。
早くもいやな予感がしてしまう。

そして、台詞回しが変。なんというか、異常に説明的。
「イテーッ!手が挟まれちゃったよー!」と言う西島秀俊氏とか、
「動けるんだったら最初っからそうしろ!」って、
ミイラにツッコミを入れるトヨエツさんとか。
不自然極まりなくてもはや可笑しいくらいに・・・

そう、この作品はなぜか少し、コメディの色を帯びている。
ラストのトヨエツ氏なんて、コントのような間合い。
全然笑えないのにも関わらず。
黒沢清監督に担がれたような感じ。


黒沢清監督は本当に、
「何かとてつもないことが起きている。けどなんだかよく分からない」
という恐怖を演出するのが巧い。
「よく分からない」って、本当に恐ろしいことだと思う。
もういっそのことハッキリしてくれ、と思うくらいに。

この作品でも、釈然としないことが次々に起る。
1000年前のミイラと、最近殺された安達祐実ちゃんの関係性とか・・・
そして、安達祐実ちゃんの死因とか・・・
きちんと説明がつくのならどれだけ良いかと思うわ。
この言葉にできない恐怖との引き換えに。
そしてやっぱり、廃墟を撮らせたら日本一のキー坊!!


中盤で、「2階からの主観ショット」が挟まれる。
そこには主演の中谷美紀さんが不在であるのに・・・・・・。
そのショットは私に、シャブロル監督の『石の微笑』のワンシーンを
思い起こさせずにはいられなかったのでした。

『石の微笑』は2004年の作品で、日本での公開は2007年。
『LOFT』は2005年の作品なので、
黒沢清監督が『石の微笑』の影響を受けたとは考えにくい。
けど、あのショットはやっぱり酷似していたよなぁ。
世界的な作家が同時期に、同じようなショットを撮ったのかな???
だとしたらなんか凄い、と思う。


そしてキャストの魅力!
西島秀俊氏(大好き)の静かな恐ろしさ。
あえて棒読み風な台詞回しで、
そして全く似合わない派手な服装(赤や花柄のシャツ!)で、
見る者を混乱に貶める。

中谷美紀さんは
どこまでが正気でどこまでが狂ってるのか、よくわからない。
この人の奇病(黒い泥を嘔吐する)も何なのか最後までわからない。

トヨエツ氏は冷静沈着。
けどそれが崩れたとき、もはや頼りにできる人がいなくて困ってしまう。


それにしても・・・
なるべくならホラー映画を見ずに平穏な日々を過ごしたいなぁ。
私はホラー映画を見るのに向いてないなぁと心から思った。
けど、黒沢清監督作品はいっぱい見たい!!!
クラクラしてしまうような映画体験をありがとう清さん。

2013年8月5日月曜日

『パブリック・エネミーズ』

☆マイケル・マン監督/2009年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・マイケル・マン監督作品を見たことなかったので。


社会の敵№1のジョン・デリンジャー役をジョニー・デップ。
デリンジャー逮捕に燃えるFBI捜査官役をクリスチャン・ベール。
対照的なふたりがそれぞれとても良い!

クリスチャン・ベールがこんなに素敵な御方だとは。
ジョニー・デップの演技を「受けている」というか、「静」に徹した感じ。
あと声がすごい好き!!好き!

ジョニー・デップはスマートな悪党を飄逸と演じていて、素敵~。
「あなたのことをよく知らない」というマリオン・コティヤールに対して、
「好きなものは野球と映画、高級な服と速い車、ウイスキー、君だ」
ですって。うわ!
銀行の金はどんどん盗るけど民間人からは盗らない、
仲間や女を大切にする、魅力あるデリンジャー。
最後、映画館で『男の世界』を見る顔がなんとも泣かせる。

(ジョニー・デップファンはこういう「危うい魅力のデップ」みたいのが
 やっぱり好きなのかしら?
 私のいちおしデップは、やっぱり『クライ・ベイビー』!!
 若きデップがのびやかにハツラツと演じていて実にいい。
 近日中にまた借りてこよーーっと!)

そしてデップ氏のお相手役は、マリオン・コティヤールさん。
全体的に銀行強盗シーンや銃撃戦シーンが多いなか、
彼女が登場すると、とたんにロマンチックな画になる。
雰囲気を変えられる、いい女優さんだなぁ~と思います。
世話好きっぽさや気の強さがセクシー。


今回マイケル・マン監督作品を初めて見て、とってもスピーディーな印象。
140分、少し長いような感じもしたけれど・・・
どんどん展開するので飽きずに見られた。
「男の美学」みたいなものを描いていながら暑苦しくも湿っぽくもない。
やっぱりアメリカ映画はおもしろいね。
『コラテラル』も見なくては!



2013年8月4日日曜日

『アンダーカヴァー』

☆ジェームズ・グレイ監督/2007年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・公開時に見逃したまま約5年も経っていた!


ジェームズ・グレイ監督は現代アメリカの映画作家のなかでも
本当に特別な存在だと改めて思った。
私は今後この人のことをベタ褒めていこう。

だってウィキペディア見たら、2008年の監督作品『トゥー・ラバーズ』は
日本では劇場公開されずDVDスルーですって。
『アンダーカヴァー』が当たらなかったのか???
だとしたら映画館に見に行かずごめんなさいって感じです。
日本でももっと、見られるべき監督だと思う。
嘘だと思う人はあの大傑作『リトル・オデッサ』を見るといいと思う。
ジェームズ・グレイ監督に幸あれ!!!


1988年のニューヨーク。
エリート警察官の一家に生まれたボビーは反発して家を飛び出し、
麻薬取引をするロシアンマフィアが取り仕切るナイトクラブで働いていた。
ある日、ボビーは兄のジョセフたちと再会し、
ロシアンマフィア殲滅する計画があることを知る。
というお話。

主演(ボビー役)のホアキン・フェニックスさんがとにかく素晴らしい。
この人の不安定で繊細な感じって、なかなか他の俳優さんに無い。
見ためがあんなにもいかついのに、涙が似合う。
この映画を見て私はホアキン・フェニックス氏が好きになった。
ケイシー・アフレック監督のフェイクドキュメンタリー見てみようっと!

ホアキンの兄役は、マーク・ウォルバーグさん。
この人ってなんとなく常識人っぽい顔をしているけど、
若い頃はそうとうなゴロツキ(死語)だったらしいですよ。
おっかない・・・。
この映画でも、エリート警官の役。ラストの兄弟愛で泣かせる。

そしてホアキンの恋人役は、エヴァ・メンデスさん。
お美しい!
はじめはただのイケイケだと思っていたのだけれど、本当にいい女。
それはもう、見習いたいほど。
好きになってしまいました。


ジェームズ・グレイ監督の何がこんなにも素晴らしいんだろう。
『イースタン・プロミス』あたりのクローネンバーグの作風に
なんとなく通じるものがあると思う。
クセがなく、大仰にもならず、真っ向な語り口で勝負している感じがする。
非情で血なまぐさいことを描きながらも愛情がある。
俳優をうまく演出してるのか、みんなすっごい演技うまく見えるよなぁ。

とにかく私は、これからいろんなお友達に
ジェームズ・グレイ監督の映画をおすすめしていこうと決めました。
とりあえず『トゥー・ラバーズ』借りてこないとだ!!
もう一回いうけどジェームズ・グレイ監督に幸あれ!!!





2013年8月3日土曜日

『選挙2』

☆想田和弘監督/2013年/日本=アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・イメージフォーラム(渋谷)

☆なぜ見たか・・・2007年公開の『選挙』がとっても良かったので


想田監督は自身の映画を『観察映画』と位置付けている。
ナレーションもBGMもないドキュメンタリー映画。
そのなかでは想田監督自身の主張が声高に披露されるわけではなく、
ただただそこにある「事実」を切り取っている、という印象。

予定調和が一切なく、誰にも先の読めないなかで撮影が続くと、
思いもよらないことが起こったり、
思いもよらない発言が飛び出たりしてしまう。
そういう瞬間を余さず映すのが、「観察映画」の面白さ。

『選挙2』では、山さんの息子さん(ゆうくん、3歳)が登場する。
"子ども"という、予定調和の対極にいる存在は、
想田監督の映画にとっても合っている。
先の読めないゆうくんの言動が、作品をよりおもしろくしていると思う。
(何より彼はとってもキュート!!!!!)

たとえば最後、防衛服に身をつつんで街頭演説する山さん。
お父さんが闘っていることを知ってか知らずか、
ゆうくんも険しい顔をして、見えない敵との戦闘を開始する。
これまではそんなそぶりを見せていなかったのに・・・。
ゆうくんが出てくると画面が和むし、今回の影の主役かもしれません。


前作『選挙』では自民党公認候補だった山さん、今回は完全独立無所属。
なんだか吹っ切れたように「怒って」いて、
前作とは比べものにならないくらいよくしゃべる。
その主義主張は映画を見ている私たちには伝わるけれど、
選挙カーもなく後援会もなく街頭演説もほぼしない山さんは、
有権者に存在を知ってもらうのも難しいような状況。
選挙にとって「金」がどれほどの役割を果たしているか、感じざるを得ない。
これ、先日の選挙前に見とくんだったなぁ。

想田監督のカメラは山さんのみならず他の候補者にも及ぶ。
カメラに向かって政治的主張を繰り出す者もいれば、
撮影されることをかたくなに拒否する者もいる。
この、「撮影されたくない候補者VS撮影したい監督」のやりとりは
今回のひとつの目玉だと思う。
選挙という公的な活動を、撮影してはならない理由はどこにもない。
(つまり、たとえ候補者に撮影するなと言われても、
 撮影を止める義務は想田監督には無い。)
おそらく候補者側もそれを分かっているのだと思う、
なぜ撮られたくないのかを、だれも理論的に説明できなかったから。
見ている私たちにはとってもスリリングだったけど、
私だったらあんな状況いたたまれないわ。


そうそう、舞台になっているのは、前回同様、川崎市宮前区。
田園都市線の鷺沼~溝の口あたりが映りまくる。
私は横浜市民だけど田園都市生活は長いので、
「あー!あのケンタッキー!」みたいなおなじみ感でも超楽しめました。
あとそのあたりには友達もいっぱい住んでるから、
誰か映らないかなぁ~とついつい眼をこらしてしまった。


見てよかった~~。
日本人全員にオススメ!
公式サイトこちら!!!

『ギター弾きの恋』

☆ウディ・アレン監督/1999年/アメリカ

☆見るの・・・4回めくらい

☆見た場所・・・自宅(ビデオ持ってる)

☆なぜ見たか・・・可愛いサマンサ・モートン見たさに


初めて見たのは中学3年生のときだから、もう10年前(わーっ)。
その頃は別段映画が好きというわけじゃなかったけど、
この映画にはそうとうビックリした記憶がある。
それまでに見たことのない部類のおもしろさだったから。
そんなわけで私はウディ・アレン監督の映画を見始めたのでした。

ハッティ役のサマンサ・モートンさんのキュートさには、
本当に見るたびに驚いてしまう。
口のきけない役で、その分表情や仕草がもう!!!

ファッションもかわいい。大好き。
「大好きなヒロインランキング」私のなかでは殿堂入り。

不思議なのは、他の映画でサマンサ・モートンを見ても、
そんなに魅力を感じないという事実。
なんだか年々ドスコイな感じになっているし、
この作品のときの彼女は魔法がかかっているみたい・・・

もう一人、ウマ・サーマンも重要な役どころ。
しゃべれないサマンサ・モートンと、説明的なユマ・サーマン、
っていう二項対立もおもしろい。

そして主演の「ギター弾き」のエメット・レイ役はショーン・ペン氏。
いいよね~ペン。
身勝手で自己愛が強く、ダメな役なのだけど、繊細さを演じきったペン氏に拍手。
この映画の良いところは、
エメット役をウディ・アレンが演じなかったところだと本当に思う。

そんなウディ・アレンは、エメット・レイの"伝説"を語る役どころ。
(実在しないエメットをさもいるかのように演出している、疑似ドキュメンタリー)
ウディ・アレンの語るところによると、エメットは、
ハッティと別れたあとに消息を絶ってしまったのです。

最後、泣き崩れるエメットを少し遠巻きに撮るシーンは何度見ても涙。
撮り方のそっけなさも素晴らしい。


映画というのは個人的な体験だと常々思っています。
この映画、世間的な評価はいざ知らず私は心から好きです。

2013年8月2日金曜日

『コックと泥棒、その妻と愛人』

☆ピーター・グリーナウェイ監督/1989年/イギリス=フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・グリーナウェイという存在を久しぶりに思い出したため


『数に溺れて』と『建築家の腹』を大学4年生のときに見て以来だから、
もう3年間くらい、グリーナウェイ監督のことを忘れていたのですね。
『数に溺れて』も『建築家の腹』も、あんなに素晴らしいのに・・・

3年ぶりに彼の作品を見た感想、
やっぱりグリーナウェイ監督は変人だと思う。
人間を生理的に不愉快にさせるのが本当に上手いのだけれど、
不愉快ながらも惹かれざるを得ないあの感じは、
ちょっと他の監督の作品では見られない。
デヴィッド・リンチなんか全然敵わない。
(リンチ、好きな作品もあるけどね)

舞台となるのは高級フレンチレストランだけど、
絶対に食事中に見たらダメな映画。

グロテスクで退廃的、浮世離れしていて、悪趣味。
美醜の不確かさをまざまざと見せられる。
絵画を見ているかのような豪華絢爛なレストランと、
ゴルチエの衣装をまとう装飾過多な登場人物。
まったく同じテンションで映し出されるのは、腐って蛆がたかる肉や魚。
または、食欲と性欲と憎悪に満ちていてどうしようもないなかに、
皿洗いの少年の天使のようなソプラノが響く。

この不思議なバランス、クセになったら危ないと思う。
おぞましいけど、それと同じくらい美しい。

粗野で横暴きわまりない「泥棒」は、気に入らない相手の口のなかに、
いろんなもの(ボタン、本とか)を詰めてやっつけてきた。
そんな彼がラスト、復讐され、口のなかに詰めさせられるものとは・・・・・・!
わー。思い出すだに恐ろしいです。
どうして、目を背けたいのに背けられないんだろう。
撮られている内容は本当にえぐいのに、決して下品にならない。
偏執的なのに夢幻的。

あと、「コック」役のリシャール・ボーランジェ氏が実によかった!
シブくて、味わい深い。
若きティム・ロス(けっこうなポンコツ役)も出ています。

この映画たぶん生理的に受け付けない人も多いんだろうけど、
私は好き。
グリーナウェイ監督、他の作品もいろいろ見たいばかりか、
数に溺れてとかももう一回見たいなぁ~。
興味深いのは『枕草子』撮ってるのね、この人。なんだそれ!!

そうそう、音楽も、発狂しておもてを駆け回りたくなる素晴らしさ!
担当はマイケル・ナイマンさんという方で、
グリーナウェイ組の常連のようです。


『最高殊勲夫人』

☆増村保造監督/1959年/日本

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・可愛い若尾文子師匠見たさに


そうそう。これですよ。
 
 

かわいすぎる!!!
ムリヤリ感満載、ひきつったようなウインクの文子師匠!
ヤンチャっぽい川口浩氏もいけてるっ!!
部屋に飾って毎日拝みたいような、素晴らしいデザイン。
 
結婚にまつわる映画。
ポップでモダンすぎる。
テンポがよいし、みんなガツガツしていて面白い。
 
文子さんの上司、宇野さんが結婚を決めるシーンなんて、
ノリとしか思えないよ。
「私は料理もできるし顔も十人並み以上、ヒップもステキでしょ」みたいなことを言われ、
「ヨシ結婚しよう」ってなる。
それまで付き合ってもなかったのに。その足で社長に結婚の挨拶いくし。
実社会でもこれくらいテンポよく進めばいいのになー!
 
文子さんは社長秘書として会社勤めを始め、
社内の独身男性の視線を一挙に浴びることになるのですが、
かわし方がなんとも愛らしい!
誘われたら誰とでもデート行くのに、誰にもイヤな思いをさせず、
ちやほやされていることを自覚しつつも、イヤミにならない!
他人の恋愛の応援すらしてしまう。
いやらしさのない美人で、本当に魅力的!!!
 
ガヤガヤとしたライブバーで
川口氏と文子師匠が想いを伝えあうシーンなんてもう、
かわいらしい演出をありがとうと言いたい。
 
あと、注目すべきは川口氏の兄役、船越英二さん。
うまいなぁ。実にいい具合にダメで、ハマり役。
飄々としつつも情けない感じ、なかなか他の人にはない個性でしょう。
 
 
女性は結婚相手を探すためだけに会社に行って、
男性も常にお相手を探している。
今とは全然違うなぁ。
みんな趣味とか無さそうで(知らないけど)、恋愛ばっかりしてる感じ。
うわー。楽しそー。
 
でも、恋愛が感傷を排したタッチで描かれている。
最後の結婚式シーンは悶絶するくらいオシャレです。
ドロドロとした映画で悪女を演じる文子師匠も大好きだけど、
こういうポップな映画で可愛らしい女性を演じているのを見ると
よけい好きになってしまいますね。
 
 

2013年8月1日木曜日

『東京公園』

☆青山真治監督/2011年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・公開時に見逃して。旧作におりたのでやっとレンタル。


わーっ!とっても好き!!!
なんだか良質のクラシック映画を見ているかのような誠実な演出で、
そこに現代っぽいテンポや楽しさも加わっていて、不思議な感じ。
きっと50年後も語り継がれる名作ですこれは。

三浦春馬くんが涼やかな精神の若者を演じていて、実に気持ちいい。
彼の出演作品を初めて見たのだけど、いいね!
鳩が豆鉄砲を食らったような顔(いわゆる豆鉄砲ヅラ)がかわいいし。

彼が演じるのは、カメラマン志望の大学生。
不思議なアルバイトを機に、自分のまわりの人間関係を見直すことになる。

幼馴染の女性を演じるのは榮倉奈々さん。
物語を動かす重要人物。
この人はあまりいい女優さんとは思えないけれど、イキイキと演じてる。
なんだかお友達になりたくない感じの役柄でしたけど。

三浦春馬くんの義理の姉役は、小西真奈美さん。
なんかよかったな~すごくよかった~~。
海を見て泣き出すとことか素晴らしかった。ロメール映画かと思った。
青山真治監督は、俳優の良さをめいっぱい引き出すような演出をなさる。

三浦氏と小西さん、ふたりの感情がしずかに爆発するのは、
彼が彼女のおうちへ遊びに行くシーン。
小西さんがふたり分の料理を作り、それを彼は写真に撮る。
その後ふたりで食べ、彼は彼女の撮影を開始する。
ファインダー越しに、小西さんの心が裸にされてしまう。
(そういえば春馬くんの部屋には『欲望』のDVDが飾ってあった。)
一連の流れがとってもエロティックかつせつなくて、ドキドキしちゃった。
おふたりとも色気のある顔をしてるよなぁ。

そして、詳しくは描かれないけれど、
ふたりは『ホテル・ニューハンプシャー』的な落とし前をつける。
見事なくらいあっさりしていたわ。
こういうところでグズグズしないあたりが、すごーく良い。


キーパーソンになる高橋洋さんの破綻っぷりや井川遥さんの美しさもナイス。
もちろん、幽霊役の染谷将太くんも!
(4日くらい前まで"そめや"だと思ってたし人前で堂々と言ってた気がする。
 恥ずかしい~。誰か訂正してよ。)
染谷将太くん、黒沢清監督の『リアル~』で見て、いい俳優さんだなぁと思った。
この作品でも不思議な存在感を放ってたので、
まだ若そうだし、今後もいい監督とたくさん出会って、活躍してほしいです。


こんなことならスクリーンで見とくんだったなぁ~。
劇中劇のヘンなゾンビ映画もおもしろかったし。

青山真治監督、『共喰い』は映画館で見ます!!期待!




『こねこ』

☆イワン・ポポフ監督/1996年/ロシア

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・知り合い(愛猫家)にすすめられて


猫好き必見!!!!!
まじでもう猫がかわいくて仕方ない!!!

迷子になっちゃった猫と、それを探す飼い主、という珍しくないストーリー。
でも、猫の演技が(それも一匹ではなく、たくさん)見られる映画なんて
そうそうないと思う。
もちろん全編にわたって、アフレコによる猫の台詞とかはナシ。

家から飛び出してしまったこねこのチグラーシャは、
犬にいじめられそうになっているところを、大きい猫に助けられる。
そんでその大きい猫が飼われている家にお世話になることに。
そこは、フェージンという男(極度の猫好き)が、
6匹くらいの猫と一緒に暮らす家でした。

このフェージンを演じるのはアンドレイ・クズネツォフという方で、
プロの猫調教師だとか。
一説には、猫の調教は犬の100万倍難しいんですって!(何その説!)


クズネツォフ氏に調教された猫ちゃんたち、
人間を圧倒するほどの魅力的で個性的な演技を見せてくれる。
フェージンを助けるシーンなんて、それはもう圧巻!
あんなことしてくれたら飼い主冥利に尽きるだろうな~。


こねこが主役のこの映画、人間はまぁ脇役なんだけど、
完全に悪者として描かれる地上げ屋以外は本当みんな優しい。
迷子のチグラーシャちゃんを誰も放っておかないくらい、
猫に対してまで寛容。
私にはロシア人の知り合いがいないのだけど、愛猫家が多いのかしら?
だから虐待とかに困ってる猫がいたら、ロシアに行くといいかもよ。
(誰に向けて書いてるんだろう私は)

それと、飼い主一家の子どもちゃん(姉&弟)は、監督の実のお子さんとのこと。
どうりで似てるし、きょうだい独特の雰囲気だ!!!
とってもキュートだった。おばあちゃんもキュート。

雪に覆われる街の美しさ、そのなかで過ごすクリスマスのあたたかさ。
派手さはないけれど、素朴でかわいい作品で、大好きになりました。
日本での知名度はあまりないと思うけど、お友達みんなに見てほしいくらい。

それにしてもアンドレイ・クズネツォフ氏に興味が尽きないなぁ。
役者としても、男前ではないけど味があってとてもよかった。
彼の猫サーカス(?)が来日したらぜひとも見に行きたいし、
あわよくば弟子入りすらしたいなー!
その前にいつの日か、猫ちゃん飼いたいなぁ~~~。


パッケージ凄くダサい!!なんだその明朝体!