2014年4月20日日曜日

『彼奴は顔役だ!』

☆ラオール・ウォルシュ監督/1939年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ウォルシュ監督作品を求めて


きゃつ、って、口語で使ってみたい!
やはりきゃつの仕業だったのか・・・という感じで。
もしくは、劇団四季のきゃつ見に行かない?という感じで。(誤用)


ラオール・ウォルシュ×ジェームズ・キャグニー。
『いちごブロンド』や『白熱』よりも前に撮られた作品ですね。
共演は、ハンフリー・ボガート!
前年の『汚れた顔の天使』に引き続いての共演。
ボギーさんはこの時、『マルタの鷹』や『ハイ・シエラ』まで、あと2年というところ。

ヒロインはプリシラ・レーン、よくしらないけど、
グラント氏と『毒薬と老嬢』で共演してるらしいので今度借りてみましょう。

第一次大戦が終わり、キャグニーらが故郷へ戻ってくる。ものの、復職できない。
やむにやまれず酒の密造を始めるキャグニー、財産を築く。
しかし恋は実らないわ、かつての仲間(ボギーさん)とは喧嘩するわ。大変。
という映画。


郷愁に満ちたハードボイルド。
狂騒の20年代を、ドキュメンタリータッチをまじえて描いてる。
キャグニーさんが演じるエディは当時の典型的な人物像らしいけど、
本当だとしたら物騒にも程がある・・・

いい2ショットです。

場面の合間に、当時の社会情勢を説明するナレーションが随所で流れる。
ニュース映画の音声のように無駄がなくキビキビして、
また画面もそれに合わせて実にシャープかつスマートに、
いろんな映像をたたみかけてくる。
ニュース映像のオーヴァーラップがなんともかっこよく、またテンポよく、
よっ、職人芸!!!といったところ。

社会情勢にともなって、キャグニーらの生き方も変わっていく。
生き延びるために酒の密造を始めたはずなのに、
いつの間にかその世界にどっぷり身を浸し、「顔役」になっている。
危険をおかすことに抵抗がなくなっている。

一部の隙もないストーリーテリングに息を巻いてしまう。
そして、なんなら青臭いくらいだったキャグニーとボギーさんが、
自覚せぬまま時代に翻弄されてどんどんヤバい奴らになっていく様に、
切なさとやりきれなさを感じてしまう。
二人の関係性もまた悲しくて。

ラストシーン、勝手にしやがれのよう。
石ころのように投げ出されたキャグニーに注がれるのは、
ウォルシュ監督の冷徹かつ厳然たる視線。
『白熱』のような狂気はないけれど、血のかよったハードボイルドといった感じ。
ウォルシュ!!!!!もっといろいろ見てみましょう!!


そうそう、ヒロインのほかにもう一人、忘れがたい女性が。こちら。
グラディス・ジョージさんという方らしいです。
闇酒場(通称スピークイージー)のママ、終始恬然とした態度でキャグニーを見守る、
貫禄があって、なんかフランスの女優さんみたい。
素敵です。


『裸のキッス』

☆サミュエル・フラー監督/1964年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタVHSレンタル)

☆なぜ見たか・・・初めて見たときの衝撃が忘れられなくて


4年くらい前に1度見て強烈に印象に残っている作品。
また見たいな~と思いつつも、シブツタ、わりと常にレンタル中で。
やっと借りられました。

のっけからフルガッツ!!!

形相の美女がよれよれの男を殴打し続ける。
男が抵抗しようと美女の髪をつかむと、

カツラがズレて・・・

 

ギャーーーーーーーーーー!

他に類を見ない、衝撃的なオープニングシークエンス。
そして、女の置かれた悲痛なる状況を一気に描ききる手腕、
そのハンパなさに驚愕してしまう・・・
例えばこれを映画館で見たとしたら、
このオープニングだけで完全にチケット代の元取れるよ。


この美女(コンスタンス・タワーズ)はケリーという娼婦で、
この生活から脱却しようとしている。
ピンハネボスを叩きのめして、ここから更生するぞ、と街を出ていく。
彼女は障害児童のための施設で、看護婦として働き始める。
そこで街の名士に気に入られ、娼婦の過去を告白したにもかかわらず
彼からプロポーズを受ける。
しかし実はこの名士、とんでもない奴で・・・という映画。
そう、その名士のキッスは、裸のキッス=精神異常者のキッスだったのです。


冒頭で人を殴ってたケリー、そのあとも再三にわたって人を殴る。
コンスタンス・タワーズは強気そうな美人ではあるものの、
なんか暗い影があるというか、苦労してそうというか、幸が薄そうというか・・・
やさぐれたナオミ・ワッツという感じ。

電話機で人を殴るシーンの不吉さよ。
そして殴られて横たわった人物の顔面に、結婚式で使うベールが、
・・・ふぁさっ・・・・・。とかかる。
あれ以上に不吉なものを見たら、人類はどうかしてしまう。
とにかく一つ一つのショットがパワーを持った、大傑作!!!!!

ケリーが勤務する障害児童の施設の撮り方もすごい。あっけにとられる。
寒々しいような薄暗さがありつつ、
子どもたちが歌い、ケリーがそれに応えるようになだめるように歌うシーンなんてもう、
ただ美しい。そして限りなく優しい。
子どもたちが、かわいい、無邪気、という撮られ方をしていなくて、
それも不思議な雰囲気を醸し出している。
変な夢をみているみたいで、こんなシーンほかに見たことない!
涙が出るほど優しい音楽シーンと、
スキンヘッド美女がバシバシ殴打するシーンとが同居してる映画・・・


ありふれた田舎町にひそむ差別や偏見、変態、を描いているかに見えて、
根底は、ケリーの青春物語。
青春ていってもそんな、爽やかなものではないけど。
部活の仲間一丸となって土手ダッシュするシーンもないし。

ボロボロのキズキズになっても、最後には誇り高いケリーを見て、
ああ、なんて豊かな92分・・・
と思ったのでした。

『ファインディング・ニモ』

☆アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ監督/2003年/アメリカ

☆見るの・・・6回めくらい

☆見た場所・・・自宅(DVD持ってる)

☆なぜ見たか・・・ダーウィンが来た!を見て!


私はあまりテレビを見ないのだけど、ダーウィンが来た!は8回くらい見たことがあって、
見るたびに心底おもしろいなぁ、いいなぁこれは。と思う。
つまり暫定的に一番好きなテレビ番組ともいえます。(アンビリバボーと競ってる)

先週ダーウィンが来た!をたまたま見てたら、カクレクマノミ特集で。
これを機に、見直そうってんでひさしぶりニモ。

CGありがとう。
っていうくらい、見事に美しい海の世界。
映像に負けない(というか、映像と融合する)キャラクターの個性と愛おしさ。
素晴らしい。大好き。

アンドリュー・スタントン氏、リー・アンクリッチ氏、共同監督作品。
ともにピクサー作品の大半に関わっている重要人物です。
アンクリッチ氏は、のちの『トイ・ストーリー3』では単独で監督。
私は『トイ・ストーリー3』に心底感動して、劇場でボロボロと泣きじゃくり、
あまりに感動したので帰りにパンフレットを立ち読みしたのだけど、
そこに書いてあった制作陣の言葉が漠然と忘れられない。それは、
「この映画を見た人が、CGが凄かったね、3Dが凄かったね、という感想を抱いたら、
 それは私たちにとって失敗なのです。」
つまりそういうことで、ピクサーの誇りとしてちゃんと、
「映画として」完成度を高めることを目指しているのですよね。
ピクサーの人たちはほんとに映画好きの人が多いんだろうなーって、見ててよく思う。

それに、ピクサーのCGにはいつも、「必然性」を感じる。(って私、年に4回くらい言ってる)
おもちゃを表情豊かに描くことから始まって、
虫の愛らしさ、モンスターの優しさ、そしてこの作品では、海の生き物の美しさ。
CGをつかって愛嬌いっぱいに描き出していて、なんとも。ファンシー。


この色づかいなんてもう気が狂いそう!!
私は技術のことは全然わからないし、
CGの技術なんて特に、魔法と同じくらいわかんないけど、
ピクサーのCG技術が図抜けているんだろうなぁ~ということはわかります。
「暗さ」というか、絶妙な影を描き出している感じがする。
森のリトルギャングとか見てないからあまり他と比較もできないんだけど、
とにかく、この美しさを皆でたたえよう。


そしてダーウィンが来た!を見て学んだカクレクマノミ知識を以って見てみると、
なんだか余計に感動してしまった。
敵が多いうえに泳ぎがあまり得意でないから、
本来ならイソギンチャクからほぼ出ずに生きていくカクレクマノミともあろうものが、
広い広い海をわたって。
で、ピクサーの人たちもちゃんと、それ(カクレクマノミの生態)をふまえたうえで描いてる。
すごい、やっぱり勉強熱心だよ。
ていうか勉強しないとこんな海の世界を描けるはずもないんだけど。

マーリンは無謀とも思える旅に出て、ニモを探すのだけど、
マーリン自身の勇気にくわえて最終的には「他者のおかげ」でニモにたどり着ける、
これもさすがの優しさですね。
「他者」と言うのはドリーをはじめ、伝言ゲーム調にマーリンの冒険を広めていく、
海の仲間。

そう、海のキャラ祭り。
ニモを探す冒険のさなかでマーリンが出会う面々、
そしてニモが水槽のなかで出会う面々、
だれが好き?って話題で小一時間くらい盛り上がりたい!
私は、ギル。ギル派。
ニモの兄貴分みたいな魚。
声をあててるのはウィレム・デフォー
でもなんとなく、ハンフリー・ボガートを思わせるキャラクター。
魚ながらも物凄い頼りがいがあって、ついていきます!って感じ。素敵!
公開当時(中学3年生くらい)からこのキャラクターを気に入って、ぬいぐるみを購入。
いまも同じベッドで寝ています。メイドインチャイナのギルと。


何年かぶりに見たけどやっぱりおもしろくて美しくて楽しくて、好き。
エンドロールで流れるのがシャルル・トレネの「ラ・メール」の英語版、
っていうのがまた、たまんない。
英語版の題はBeyond the sea ロビー・ウィリアムズだか誰だかが歌ってるみたい。


余談だけど二十歳くらいのときに、男の人にまじまじと顔面を見られ、
「ファインディングニモに似てるねー」と言われたことがあります。
はは。魚類。


2014年4月6日日曜日

番外編、ポーランド女性との思い出

これは映画には関係ない記事で、
ポーランドから来た女の子(マルちゃん仮)と過ごした1か月の記録です。

ことの起こりは、昨年暮れのポーランド映画祭。
のっけから不親切な感じですが、
興味ある方は当時の記事をさかのぼって見てみてください。

映画祭では12本の作品を見たに過ぎないけど、
なんかそれからポーランド文化に異様なる興味がわいて、ポーランドブームが到来。

でもポーランド文化は、映画も文学も、
日本人にとってあまり馴染みのあるものではない、ということに気づいた。
というか自分にポーランドブームが到来するまで、そんなの考えたこともなかった。
ポーランドの文学者を挙げよとか言われてもこまるのみだし
(ちなみに、ノーベル文学賞受賞者4人います。知らないでしょ。私も知らなかった)、
文学者のみならず、映画監督を除けばポーランドの有名人をほぼ知らない。
ワルシャワ以外の地名を知らない。

仏文科出身なこともあって何につけてもフランス贔屓だったけれど、
初めて、他の国に大きな興味を持ったのでした。


そんなある日、知り合いのFさんが。

Fさん「3月にポーランドの女の子がうちにホームステイするよ」

!!!
渡りに船とはこのことだ!!
ぜひ会わせてくださいね!!と息巻く私。

マルちゃんのステイは3月1日から31日まででした。(たしか)
マルちゃんは本当に明るくておもしろくて賢くて、初対面で大好きになり、
結局何度も一緒に遊んだ。

Kポップや関ジャニが大好きなマルちゃん(私はどっちも全然わからない)
ポーランド映画のことをもっと知りたい私(マルちゃんより私のが詳しかった)
国籍のみならず興味の対象も違ったけど、マルちゃんとの会話はいつも楽しかった。
そして二人とも、お酒を飲むのが好き。


そうそう映画。
映画についてはいろいろ質問してしまった。
マルちゃんいわく、昔のポーランド映画は良い作品が多いと思うけど、
最近のはあまりおもしろくないからみんなハリウッド作品とかのほうが好き、とのこと。
『ハングオーバー』のリメイク?とかやって、コケたりしてるらしい。
私はスコリモフスキ監督作品が大好きで、『バリエラ』という映画が特に、
もう言葉では言い表せないほど大好きなんだけど、
マルちゃんは「題名は知ってるけど見たことない」とのこと。
でもヤン・ノヴィツキやズビグニェフ・ツィブルスキは、
やっぱりポーランドではかなり有名な俳優さんみたい。
日本では、映画ファンよりもポーランド通に知られている名前ですよね。

ポーランドではあまりDVDレンタルは主流ではなくて、
多くの人がネットを通じて映画を見ているらしい。
日本映画は、たぶんあまり見られていない模様でした。

あと、ポーランドで有名な日本人は誰?と聞いたら、意外な回答が。
まず最初に挙がった名前が、ジャンプの葛西選手。
そして、
マ「あとバイオリニストの・・・」
私「???ハカセタロウ?」
マ「それ!」
えーーー!!
北野武や中田は知らないのに、なぜ葉加瀬!
まぁ、一般的なポーランド人の回答なのか、マルちゃん個人の見解なのかはわかりませんが。


とにかくマルちゃん自身のことやポーランド文化のこと、
気になることはなんでも聞いた。
優しくて賢いマルちゃんは、なんでも気持ちよく答えてくれた。
私はポーランド人のキリスト教信仰に興味があるので、そういうこととかも。

私「マルちゃんはクリスチャン?」
マ「うん」
私「みんな、どのくらいの頻度で教会に行くの?
  日本人は信仰を持たない人がかなり多いよ」
マ「ポーランドでも、若い人はそんな感じ。
  おばあちゃんとかに"ほら、教会に行かないと神様にきらわれるよ"とか言われて、
  わかったわかったって感じで行くくらい。
  年配の人は熱心に早朝から教会に通う人も多いけど」

これもなんだか意外。
ポーランド人=敬虔なクリスチャン多し、っていろんな本とかに書かれているし、
昔のポーランド映画も信仰をテーマにしたものがたくさんあるイメージだったので。
やっぱり時代によって、信仰の有り方もかわるんですね。


こんな感じでいろいろ話して、マルちゃんのことも、ポーランドのことも、
どんどん好きになった。

マルちゃんのステイ先の家の子ども(6歳女児)、マルちゃん、私、
という妙な編成で東京タワーにも登った。
3人とも人生初でした。

一緒に書道もした。
初体験のマルちゃん、上手でびっくり!!
10年ぶりに筆を持つ私、下手でびっくり!!!

日本のことをもっと好きになってほしくて、たくさん楽しい気持ちになってほしかった。

マルちゃんはお花見をしていたがっていたので、ポーランドに桜はないの?と聞くと、

マ「少し違う種類の桜があるけど、別にポーランド人は
  "桜?あー咲いてるね、はいはい"って感じで、お花見の文化がないの。
  日本人はいろいろなものに美しさを見出すから、お花見をするんでしょ。
  日本人のそういう感性が好き」

ちょっと美化されてるというか、そう思えるあなたの心が美しいよ!と思った。


楽しい時間をたくさん一緒に過ごしたので、お別れはとてもさびしかったけど、
でもそのうちきっとまた、世界のどこかでね。
C'est difficile mais pas impossible.
そうだよね。
(マルちゃんのタトゥーに有る言葉。仏語で、困難だけど不可能ではない、という意味)


ちなみに会話は英語。
英語は高校のころ得意で、勉強をしなくても試験はできた。
(嫌味にきこえるだろうけど本当。そのかわり理系科目のヒドさたるや・・・という感じ)
で、それ以降も特に勉強をしてないから、高校レベルで止まってるんですね。
外国の映画をよく見るから聞くのはだいたいokだけど、自分から話すのが苦手。
マルちゃんと長い時間を過ごすにつれて自分のポンコツさが骨身に染みて、
初めて、英語を勉強しようかなという気持ちになった。
マルちゃん帰国後もよくLINEでやり取りしてるけど、
やっぱり自分で文章をつくるのが大変なので。
なんか、気の利いた単語がサッと出てこない。
でも英語の勉強するくらいならフランス語の勉強をしたい、と思ってしまうので・・・
まぁ、どっちも楽しくやっていけたらいいな。
ポーランド語は、ちょっと予想外に難しそう。独学では無理そうな感じ。
でも調べてみても、スクールとか講座自体が少ないです。ポーランド語は。
なんか在日ポーランド人のお友達でもできればいいんですけどね。


話がそれたけど、マルちゃん。

Kocham Cię そして、 (愛してる。ありがとう)
会いたいよ!!

これ、ポーランドの伝統衣装。
かわいすぎる!!!!私服として着たい!

映画あいうえお

誰に頼まれたわけでもない100%趣味でやったことなのに、
たいへんに悩みました。

ルールは簡単、
好きな映画のタイトルを、あいうえお順に挙げていく。
一監督につき一作品。(この縛りがもう大変。)

結論からいうと、「な行」「ら行」から始まる映画の少なさに驚愕!!!
やってみればわかる!!!

それでは、スタート。


アタラント号(ジャン・ヴィゴ)
いちごブロンド(ラオール・ウォルシュ)
有頂天時代(ジョージ・スティーヴンス)
エヴァの匂い(ジョゼフ・ロージー)
女は女である(ジャン=リュック・ゴダール)



顔のない眼(ジョルジュ・フランジュ)
CURE(黒沢清)
クライ・ベイビー(ジョン・ウォーターズ)
結婚哲学(エルンスト・ルビッチ)
絞殺魔(リチャード・フライシャー)



ザ・マスター(ポール・トーマス・アンダーソン)
新婚道中記(レオ・マッケリー)
砂時計(ヴォイチェフ・イエジー・ハス)
接吻(万田邦敏)
ゾンビランド(ルーベン・フライシャー)



ダウン・バイ・ロー(ジム・ジャームッシュ)
小さな逃亡者(レイ・アシュレー)
翼に賭ける命(ダグラス・サーク)
天国の門(マイケル・チミノ)
東京上空いらっしゃいませ(相米慎二)



何がジェーンに起ったか?(ロバート・アルドリッチ)
肉屋(クロード・シャブロル)
濡れた二人(増村保造)
ねらわれた学園(大林宣彦)
のんき大将(ジャック・タチ)



バリエラ(イエジー・スコリモフスキ)
ピクニック(ジャン・ルノワール)
ブルジョワジーの秘かな愉しみ(ルイス・ブニュエル)
ベルヴィル・ランデヴー(シルヴァン・ショメ)
ホーリー・モーターズ(レオス・カラックス)



MASH(ロバート・アルトマン)
見知らぬ乗客(アルフレッド・ヒッチコック)
ムーンライズ・キングダム(うェス・アンダーソン)
メーヌ・オセアン(ジャック・ロジエ)
モンキー・ビジネス(ハワード・ホークス)



野性の少年(フランソワ・トリュフォー)
ユリイカ(青山真治)
夜の人々(ニコラス・レイ)



ラルジャン(ロベール・ブレッソン)
リトル・オデッサ(ジェームズ・グレイ)
ルパン三世 カリオストロの城(宮崎駿)
レネットとミラベル 四つの冒険(エリック・ロメール)
ローラ(ジャック・ドゥミ)



私はゾンビと歩いた!(ジャック・ターナー)




すごーい。幸せなリスト。
これからたくさん映画を見るにつれて、リストの中身も変わっていくことでしょう。
そういえば「フランス映画あいうえお」っていうのもけっこう前に作りましたが、
なかなか内容に納得できない部分があって、まだまだ研究中。

みなさんもリスト作ってみてはいかがでしょう。凄い悩むこと請け合い。

『恋の情報網』

☆レオ・マッケリー監督/1942年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・グラント氏見たさに、そしてマッケリー作品見たさに


100円レンタルのときに準新作コーナーで発見、
マッケリーじゃん!グラント氏じゃん!ロジャースじゃん!ってなって(横浜人)、
急いでレンタル。

グラント×ロジャース。
愛してやまない『モンキー・ビジネス』のご夫婦ですね!

1938年、戦時下のヨーロッパが舞台。
男爵と愛のない結婚をしたロジャースが、グラント氏にひかれていく・・・というお話。
世間知らずだった女が、政治に巻き込まれ、ついにはスパイ行為もし、
最終的にはグラント氏とハッピーエンド。


戦時中に撮られた作品で戦争のことを描いているけれど、ラブコメディ。
グラント氏はラジオ放送のニュースキャスターみたいな役どころで、
あの洒落者の口からヒットラーとかゲッペルスとか出てくるのが、奇妙。
あまり深刻ぶらない戦争映画、という、不思議な感じ。

政治的混乱の渦中に身を置かざるを得なくなって、
変遷していくロジャースを描いているので、グラント氏の出番は思ったよりも少なめ。
でも彼、やっぱり粋の極みで。見ていてすごいうれしくなりました。
女性をエスコートさせたらピカイチ!かっこいい!!


軽妙洒脱、グラント氏の魅力を堪能。
彼は私にとって、数少ない「たぶん何をされても怒らないであろう人」で。
他にはアラン・ドロンとかなんですけど。
こんなにかっこよければ何をされても、この人なら仕方ないかなーと思えると思う。
蛇足。そんでなにもされる機会なし。

でもパリの夜、
ベランダみたいなとこでロジャースにうすら寒いポエムをプレゼントするくだりでは、
「どーした?!」ってなった。


前述のとおり『モンキー・ビジネス』のご夫婦で、
あの映画では二人して大暴れしてたから、この映画ではかなりおとなしく見える。
けど、二人ともやっぱりコメディがうまい!
ロジャースのおきゃんな感じがとても良い。

列車のなか、ロジャースとロジャースの夫(男爵)が座る個室の隣で急に、
グラント氏が「寂しいけどボクにはサックスしかないんだ」とか言って、
おもむろにサックスをぶふぉ~~~!!と吹き始める。
その音を聞いたロジャース、とてつもない大爆笑。
こういった場面では、二人とも持ち味を発揮してコメディをやっていて、幸せ。
ロジャースは大爆笑が似合う女優さんですね。
あの誰もが唖然とするラストシーンも、ロジャースならではだと思う。

そう、ラストシーン、「はっ?!!」ってなりました。急も急に終わるので。
マンガチックにドタバタした展開と主演俳優たちの演技で、
不思議な戦時下コメディになっていました。