2013年7月31日水曜日

『CURE』

☆黒沢清監督/1997年/日本

☆見るの・・・3回め

☆見た場所・・・自宅(ビデオ持ってる)

☆なぜ見たか・・・掃除してたらビデオが出てきて


これはもう本当に日本映画の至宝で、
大傑作どころの騒ぎではないと本気で思っています。

役所広司さんは、精神を病んだ妻のお世話をしつつ
難解な猟奇殺人事件を担当する刑事役。
萩原聖人さんは、記憶喪失の青年で、
不思議な言葉でまわりの人間を次々と「導く」役。
(ハギー大好き。)

おふたりの演技合戦の素晴らしさよ!
疲れ切ってヨレヨレ、どんどん追いつめられる役所さんの凄み。
「あんただれだ?」を繰り返し、
甘えたようなささやき口調で相手の心にせまるハギーの謎めき。
さらにはここに、冷静沈着な常識人のうじきつよし氏が加わって、
なんとも充実した「バランス」を、
そしてその「バランス」が壊れゆくさまを、くらくらしながら目の当たりにする。

うじきつよしさんの部屋に「X」マークを見出すシーンなんて、
死体を映されるよりよっっっぽど恐ろしい。

一見穏やかでやさしい人も心の底には憎悪がうずまいていて、
そのわずかな憎悪をハギーが引き出して、殺人というかたちに昇華させる・・・
役所さん自身もハギーと対峙し、内面を吐露することによって、
CUREされてしまう。
ラスト、ファミレスで満足げに食事を終える役所氏にゾッとすること請け合い。


この映画は見終わったあとでも、いくつかの謎が残る。
それが嫌だという人は、もう映画なんか一切見なければいいよと思うわ。
謎がスッキリと解けることの快感なんて、屁でもないよ!
解けない謎にいつまでも戦慄させられる感覚に比べれば。
ああ、それにつけてもハギーって素晴らしいな!!!


かように私はこの作品を崇拝しているけれど、
とにかく極度に怖がりなので、黒沢清監督の作品のいくつかは
いまだに見るのをためらっています。
でも、それは人生における損失かもしれない。
ロフトとか。おっかないけど見たいな・・・
ちなみに、『神田川淫乱戦争』はダイスキ!





『恋する惑星』

☆ウォン・カーウァイ監督/1994年/香港

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・単にもう一度見たくなったので


アジア映画はかなり疎くて全然詳しくないのだけど、
これはとっても好きな作品!
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』はおもしろくなかったのに!


そのとき、ふたりの距離は0.1ミリ。
57時間後、僕は彼女に恋をした。

ウォン・カーウァイ自身による脚本が洒落てるし、
香港の猥雑な疾走感もいけてる。

映画は二部構成で、第一部の主人公は金城武さん。

金城さんは失恋をした役なのだけど、
さわやかで、鬱屈としてなくて、非常に好感がもてる。
身体の水分を蒸発させて涙が出ないようにするために
ふられたときにはジョギングをする、っていう、
なんだかロマンチックでちょっとズレてる警官さん。
爽快に、少し甘く演じる金城さんがまぶしい!
パイン缶をむさぼる姿もラブリー!

誰かがそばに居てくれるって素敵なことなんだな~と
ついついすなおに思っちゃう。
偏屈な気持ちでいるのはもったいないと、なんとなく思う。


第二部の主役はトニー・レオンさんとフェイ・ウォンさん。
繰り返し流れる「カリフォルニア・ドリーミング」に
妙にセンチメンタルな気分にさせられる。

トニー・レオンに恋をして、彼を振り向かせようとするフェイ・ウォン。
けれども、恋する女の努力は、いつも鈍感男に届かない。
このへんの感じとかけっこうリアルでおもしろーい!

電気代未納により電気を止められ、
大量のロウソクに火をともすシーンの美しさも忘れがたい。
もちろん、その仄明るさのなかでふわふわと動くフェイ・ウォンさんも!
(あと、フェイ・ウォンさんによる主題歌「夢中人」が最高に最高)


主要人物全員がロマンチスト。
とってもかわいい恋の物語で、やっぱりかなり好き。
雑踏ですれ違う見知らぬ人々の中に、将来の恋人がいるかもしれない、ですよね。






2013年7月30日火曜日

『アタラント号』

☆ジャン・ヴィゴ監督/1934年/フランス

☆見るの・・・3回め

☆見た場所・・・シネマヴェーラ(渋谷)

☆なぜ見たか・・・以前にVHSで見て大感動して、ぜひスクリーンで見たかったので


夭折の天才ジャン・ヴィゴの残した、唯一の長編劇映画。
私が心から愛する映画のひとつ。
映画の持つすべての歓びと魅力が、この作品に集約されていると思う。
どこまでも自由で破天荒、愛とユーモアに満ちていて、詩的。

艀(はしけ)で生活する新婚夫婦の物語。
「いさかいと和解」という単純なテーマを、なんともロマンチックに描いてる。


せまくて単調な船での生活に飽き始めてパリに飛び出してしまった新妻ジュリエット、
慣れない街でひとりベッドに入る。
夫のジャンもまた、船のなかでひとりベッドに入る。
そしてお互いがお互いを想いながら、せつなさに身悶えする姿が
美しくオーバーラップされる。
それはもうとんでもなく官能的で、詩情あふれるラブシーン。
遠く離れたふたりが創る、なんとも先鋭的なラブシーン!

撮影監督はボリス・カウフマン。
『十二人の怒れる男』や『波止場』の彼ですね(波止場見たことないけど)。
ジャンが水中に飛び込んでジュリエットの幻影を見るシーンなんて、
美しすぎて涙なしには見られない。
ありがとうカウフマン氏!!!

ジャンとジュリエット、ふたりの和解のきっかけを作るのは、
同じ船上で暮らすジュール爺さん(ミシェル・シモン)。
常識破りで痛快、猫好きでどこかすっとぼけていて、愛すべきキャラクター。
身体じゅうに彫られたヘンな刺青が可笑しい。
圧巻なのは、長い船旅生活で手に入れた数多くのガラクタが
所狭しとならんでいる彼の部屋(in船)。

(それにしてもスゴい刺青。なんて言って発注したらこうなるのかしら)
コレクションは日本の扇子、とかの常識的なものから、昔の仲間(人間)の手まで。
そんなジュール爺さんの豊かで強烈な魅力の秘密を知りたくて、
彼のお部屋に入りたくて、繰り返しこの作品を見てしまうのかも。

『アタラント号』のジュール爺さんにしても、
『素晴らしき放浪者』のブーデュにしても、
私は人生で大切なたくさんのことをこの怪優ミシェル・シモンに教わったよ。


感動的な余韻につつまれるラストシーンまで、すみずみまで、
愛することや生きることの歓びに満ちてる。
この作品のきらめきはうまく言葉にできるものではないし、
何度見ても飽き足らない魅力があると思う。

こうして思い出しているだけで幸せな気分になれるもんなぁ~~~!

『エイブ・リンカーン』

☆ジョン・クロムウェル監督/1940年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・シネマヴェーラ(渋谷)

☆なぜ見たか・・・下記参照


まずねー、現在シネマヴェーラでは、「映画史上の名作」と銘打って、
数々のクラシック作品の特集上映をしているの。
そんで私はどうしても『アタラント号』がスクリーンで見たくて、
見に行ける日のスケジュールをチラシで確認したら、
『アタラント号』と『若き日のリンカーン』の二本立てだったの。
『若き日のリンカーン』、ジョン・フォード監督作品・・・
見たことないし楽しみにしてたの。

ところが当日ヴェーラに行ったらよ。
貼り紙がしてあって。
要するにチラシに記載ミスがあり、
ジョン・フォードの『若き日のリンカーン』ではなく、
ジョン・クロムウェルの『エイブ・リンカーン』を上映します、とのこと。

えっ何そのミス!!
ジョンつながりでリンカーンもの、ってことで、違う作品をチラシに載せちゃったのかしら。
あさはかだよー!

でもジョン・クロムウェル監督作品自体を見たことなかったし、
むしろ若き日のリンカーンはレンタルも確かあったから、
まぁいいかなと思って映画館に入りました。
何よりお目当てはもう一作の『アタラント号』だし。

なんかもうこの時点で若干、不思議体験の気分だったんだけど。

上映開始すると、スクリーンにはまさかの、
『若き日のリンカーン』の文字が躍る。
ん?エイブのほうってことで落ち着いたんですが・・・という気持ち。
すぐにカットが雑に変わったかと思うと、『エイブ・リンカーン』が始まる。
あの最初のカットはなんだったんだろう・・・

釈然としないまま見進めると、なんと、吹き替え作品!
「オマエも本ばかり読んでないで~」とか言ってるよ!!びっくりだ!
アニメ以外の作品を、映画館で吹き替えで見るなんて初めてかも。


・・・と、映画うんぬんよりもそれに至るイロイロのほうが気になるという、
珍しいパターン。
あの最初の『若き日のリンカーン』の題字、ほんとになんだったんだろう。
ついでにいうとラストでも、"The End"が出たあとに急に画面が切り替わって、
もう一種類の"The End"が出たんですけど・・・


このままではジョン・クロムウェル監督がうかばれないので映画自体の感想を。
と言いたいところだけど、混乱のうちにうまく入り込めず、おいていかれた感じ。
ごめんねクロムウェルさん。

なんとなく感想を箇条書き
・豚が逃げたりする牧歌的なシーンが好き
・レイモンド・マッセイはあまりハマり役ではない模様。
・ラストシーンの歌(これは言語のまま)は、日本では
 ♪ごんべさんの赤ちゃんがカゼひいた~ もしくは
 ♪まぁるい緑の山手線~ でおなじみのあの曲なので、
なんとなくおもしろい気分で終了。


レイモンド・マッセイ、面長だな~。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

☆ダン・スキャンロン監督/2013年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・109シネマズ グランベリーモール(南町田)

☆なぜ見たか・・・愚問!


大好きな大好きなモンスターズ・インクの続編。
また映画館でマイクやサリーに会える!って、
ず~~っと楽しみにしてました。
ちなみに2Dの吹き替えで見た。
飛び出さなくてもおもしろいはずなので、3Dで見るのはもったいないと思って。

やっぱり見事だなぁと思ったのは、モンスターたちの造形。
今回、私のお気に入りは三つ目のギャルモンスターたち。いけてる!
マイクとサリーの仲間になる「ウーズマ・カッパ」のメンバーも、
個性的でキャラが立ってて、応援せずにいられない。
あの恐ろしい校長先生もお見事!!!
さすがだなぁ。

そんでモンスターたちのパーティーシーンもカラフルで楽しくてたいへん良い。
モンスターの人間らしさみたいなものが見えて、おもしろい。

一方で珍しいと思ったのは、マイクが「能動的な主人公」であること。
ピクサーの主人公たちは受け身で、巻き込まれ型が多いと思う。
ニモがいなくなっちゃったから探さざるを得ない、とか、
人間の子供がモンスター界に乱入しちゃったから対処せざるを得ない、とか、
イヴが宇宙に連れ戻されちゃうから追いかけざるを得ない、とか。

それに対して今回のマイクは、「頑張って大会で優勝するぞー!」って感じ。
まぁ、学科追放とか諸事情あってのことなんだけど。
頑張るのは良いことだしもちろん応援するけれど、ドラマ性はちょっと薄い。
ピクサー主人公たちの「受難」を見慣れてるからそう思ったのかしら。
『トイ・ストーリー3』のときの受難っぷりたら無かったからね・・・

まぁなんにせよ大好きな『モンスターズ・インク』の怖がらせペア、
サリー&マイクの原点が見られてとっても興味深かった。
私が感動したのはむしろ大会優勝とかのもっともっとあとで、
最後の数分。
ふたりがモンスターズ・インクに郵便係として入社してから、
様々な部署を経るところ。
なんか非常に社会人っぽくていいなぁ~と思った。

頑張り屋のマイクがとっても愛おしくて、
田中さんに会ったらたぶん抱きしめてしまうと思う。気をつけよう。
あと、のちのライバルであるランドールも出てくるのだけど、
見事なザコで笑っちゃう。
可愛げあったのね~~!


『ボウイ&キーチ』

☆ロバート・アルトマン監督/1974年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・先日見た『夜の人々』の関連作品として


とは言えもう2週間くらい前に見たから、記憶が薄れつつある感じ。
けど、忘れがたい部分もたくさん!

アルトマン映画の常連、シェリー・デュバルがキーチ役。
この人の「美しくなさ」が妙にリアルで、素晴らしいアクセント!!
コーラばかり飲んで、モテなくて、病気っぽくて、って役がとってもハマってる。
シェリー・デュバルは他の作品で「不思議ちゃん」みたいな役柄が多くて
なんとなくイラッとくる人だったけど、この映画ではソレが吉とでた感じ。

ボウイ役はキース・キャラダイン。
スティーヴ・ブシェミ氏をムリヤリ男前にした感じの馬面ガイ。
若造ゆえの粗野さと繊細さのバランスが絶妙。
ウィキペディア見たら『北国の帝王』に出演してたらしいけど、
んーー、なんの役か思い出せないー。

全体的な印象としては、BGMとかもなく(えんえんとラジオが流れてる)、
とっても落ち着いて地味。
そして「夢みる不思議っ子」シェリー・デュバルのおかげもあって、
現実離れしたようなロマンチックな気分にも一瞬浸れる。

だからこそ、ラストシーンは悲痛で、感動してしまう。
アルトマン作品は『バード★シット』のような狂奔する魅力もあるけれど、
こういう詩情も、彼独特のものなのですね。
『バード★シット』大っっ好きだけどね~

『ビッグ・ムービー』

☆フランク・オズ監督/1999年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(ビデオ持ってる)

☆なぜ見たか・・・掃除してたらビデオを発見して


スティーヴ・マーティンさんとエディ・マーフィーさんの共演作品。
マーティンさんは脚本も担当しています。マーフィー君は一人二役。

弱小映画会社を経営するボビー(マーティン)は、
大スターのキット(マーフィー)を主演にむかえて新作を撮ろうと決意。
が、予算も実力もないボビーに、もちろんキットは振り向かない。
そこでボビーは、キットに知られないままキットを出演させる、
つまり隠し撮りをすることに。
ついにはキットのソックリさんまで登場して映画撮影は進むよ、というストーリー。


スティーヴ・マーティン氏が好きです。
あの屈託のない独特の笑顔。器用さ。話術。
この映画では、映画を撮りたいがために犯罪まがいのことまでするのに、
純粋さの印象は失わないという、不思議な役。
渾身の「カーーーット!!」が素敵!

マーフィー君も良い。
神経質な大スター・キットと、その弟・ジフ(超バカ)の二役。
ジフの「グフグフ・・・」っていう笑い方、気持ち悪すぎて爆笑。
キットはなかなかかわいそうな役だけど、困りまくるマーフィー君も笑いを誘う。


最後の試写会のシーンは、あまりに純粋な喜びにあふれていて
ウルっとしつつもちょっと恥ずかしくなっちゃうくらい。
マーティンさん本当に映画好きなんだろうな~。


「編集」によってある程度どうにかなってしまう、映画作り。
資金繰りの大変さ。
誰にでもシッポを振る女優。
大スターと自己啓発セミナー。

キレイゴトでは映画はできない、けどやっぱり映画っておもしろーい。

「映画作りの映画」って、『アメリカの夜』にしても、『8 1/2』にしても、
作り手の個性が全面に出て興味深いと思う。

2013年7月25日木曜日

『赤い靴』

☆マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー監督/1948年/イギリス

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・バレエが見たい気分で


スコセッシ監督のおかげでリマスター、公開されたこの作品。
レンタルまでできるようになったのですね。ありがとうスコセッシ監督!

劇場公開時以来、2回めの鑑賞。
初めて見たときにそれはもう、バレエシーンに魅了され、
今回もやっぱり圧倒された。
もちろん公演のシーンをそのまま映すのではなくて、
映画の魔法がかかってる。
どこまでも広がっていく舞台のなかで、
童話の世界とバレエの肉体的感動、そして人間ドラマが、
映画の魔法で融合されてる。それは、戦慄する美しさ。

ヒロインのモイラ・シアラーはもとより、
リュボフ役のレオニード・マシーンがとにかく素晴らしい!!!
「赤い靴」の舞台で最初と最後に見せるあの表情。
あれだけで、私はもうゾクゾクしてしまう。
この物語のあらすじを忘れることはあっても、
あの表情だけは忘れられないと思う。

あと特筆すべきはレルモントフ役、アントン・ウォルブルック氏。
エレガントーーーーー!!
時に非人間的なまでに芸術に身を捧げ、
ヴィッキー(モイラ・シアラー)にもそれを要求する役。
この悪魔的なダンディズム!
部屋着がなんかヘン・・・という事実にはこの際目をつむるよ。
愛を捨てて芸術に生きろ、と冷酷に言い放つレルモントフ、
これ以上のハマり役があるでしょうか。素晴らしい。

ヴィッキーが恋に落ちるのは、新進気鋭の作曲家。
この人(マリウス・ゴーリング)がどうにも魅力を欠いていて、
バレエを捨ててまで走る恋じゃないよ!と思わざるを得ない。
最後まで器の小さいところばかりが目立ち、どうにも好きになれない役。
そこまで男前とも思えないしね。
かわいそうなヴィッキー。

そんなわけで私は、この作曲家クンとヴィッキーがラブラブするシーンは、
あんまりいらないと思うの。
でもバレエのシーンやらレルモントフの冷徹さやら、ほんと圧巻。
ラストシーンまで大好きな映画です。


2013年7月24日水曜日

『パリの灯は遠く』

☆ジョゼフ・ロージー監督/1976年/フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)がロージーロージー騒いでたので


アラン・ドロンがすごく良い。
アイデンティティを揺るがされてオロオロする、という表情がすごくハマってた。
これは一世一代の名演。

姿の見えないものに脅かされる、とっても恐ろしいお話で、
あの見事な幕切れまで緊張感が続く。
犬が追っかけてくる・・・という一見ほほえましいプロットにすら、
ゾクゾクさせられちゃう演出の妙よ。

合間合間で出てくる鏡の使い方も見事。
あんなにスター然としたアラン・ドロン様が別の人間とゴッチャにされる、
っていうのも、考えてみれば大胆な設定だなぁ。
けど『世にも怪奇な物語』のときもドッペルが出現してオロオロしてたし、
案外、存在不安にオロオロさせたらピカイチの男前なのかもしれない。

私はアラン・ドロン様の容姿が大好きです。
それはもう、何をされても怒らないほど。
(でも何もされない。皮肉なもので。)

2013年7月21日日曜日

『ゴーストハンターズ』

☆ジョン・カーペンター監督/1986年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(古賀くん)が、全映画監督のなかでPTAの次にカーペンターが好きと言ってたので


とはいえ、カーペンターさんは基本的にホラー映画が多いみたいで、敬遠してました。
でもコレなら大丈夫そう・・・ってことで、初カーペンター。

感想。
破綻してる!!!!!
監督も演者も全員どうかしてるよ!

なんともジャンル分けの難しい映画。
アクション、冒険、モンスター、カンフー、魔法、ロマンス、コメディ・・・
まともな気持ちで挑んだら完敗する。
無駄にファンタジックな演出には、「お金が余ってたのか??」と疑わざるを得ない。
そんでギャグのつまらなさときたら、ただただあんぐりするばかり。

何よりまず、主演のカート・ラッセルが着てるタンクトップよ。
 
ドコで売ってんのか、なんでそれを買うのか・・・
気になって映画に集中できないじゃないですか。
別におしゃれに興味がないのは一向にかまわないけど、
あえてそれを選ぶセンスが解せない。
人として信用できないセンス。この人にお金は預けられない、と思う。
 
ちなみにコレのレプリカが、楽天市場で2,000円ちょいで売ってるので、
来年の古賀くんの誕生日にプレゼントしたいと思っています。(こちら。欲しい人はチェック!)
 
変なタンクトップを何のためらいもなく着用するカート・ラッセル、
見た目どおりと言っちゃなんだけど、すがすがしい程の単細胞。
お相手役はキム・キャトラル。セックスアンドザシティに出てるんですね。
すっごく大根でびっくりしちゃった。キレイだけど。
 
 

出てくる人みんな異様なハイテンションで生きてるので、
夏バテをおこしたときに見る映画としては相応しくないと思う。
お祭り感覚で、酔っ払いながら見たらいいと思う。
 
ジョン・カーペンターさんに興味が尽きないわ。
 
 


『モンスターズ・インク』

☆ピート・ドクター監督/2001年/アメリカ

☆見るの・・・5、6回めくらい

☆見た場所・・・自宅(DVD持ってる)

☆なぜ見たか・・・モンスターズ・ユニバーシティを見る前の復習。


ピクサー作品大好きで、全部見てます。

と書こうと思って念のためウィキペディアで「ピクサー」って調べたら、
『メリダとおそろしの森』もピクサーなのね。コレだけ見てない。
なんとなく悔しいから旧作におりたら借りよう。

ピクサーのなかで、トイ・ストーリーと並んで一番好きな作品。
2年ぶりくらいに見たけど、やっぱり素晴らしかった。

ピクサーの社内ではお国に内緒でモンスターとか飼ってるの?
って思っちゃうくらい、ポップなモンスターたちのデザインや表情が見事。
いつも完璧なお仕事をありがとう!

またCGが凄い。
ブーの小さな手が、サリーの毛並みにふわっ・・・と優しくふれる瞬間。
手書きアニメでは絶対に表象できない感動。
ピクサーのCGには、いつも必然性があると思う。
ドアの宇宙も、圧巻!!!

何より、「恐怖の叫びよりも笑いのほうがいいよね」っていうオチが大好き。
ほんと素晴らしい脚本!やっぱり傑作だなぁ。

ちなみに今回はとっってもひさしぶりに、吹き替えバージョンで見た!
石塚さんも田中さんも完璧。
田中さんにこんな才能があるって見抜いたキャスティング担当の人、凄いよ!
ユニバーシティはたぶん吹き替え2Dで見ると思う。(とびださなくてもおもしろい自信があるから)

今回エンドクレジットをよーく見て、初めて知ったんだけど、
ランドール役はスティーヴ・ブシェミさんなんですね。



あっはっは!ナイスキャスティング!
ブシェミさん好き~。



2013年7月10日水曜日

『花嫁人形』

☆エルンスト・ルビッチ監督/1919年/ドイツ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・シネマヴェーラ(渋谷)

☆なぜ見たか・・・ルビッチ監督の作品とっても好きなので


叔父の遺産を継ぐため結婚を余儀なくされた女性嫌いのランスロ。
天才職人に花嫁のかわりの人形を作らせ、ごまかそうとするが・・・。
登場人物の強烈なキャラクターや人形役のオッシの動きに大笑い。
書き割りや着ぐるみなどを使った舞台的な演出も効いている、ルビッチによるシュールなコメディ。
(ヴェーラのチラシより)

花嫁のかわりに人形を作らせたのに、人形は壊れてしまう。
仕方なく人形職人の娘さんが、人形のフリをして男爵のもとへ・・・ってお話。
この「花嫁人形」、どう頑張っても人形ではなく人間にしかみえないのだけど
だれもそれに気づかないのはご愛嬌!

愛らしいおとぎ話でした~。
オッシのカクカクした動きとかキョロキョロ動く眼、これだけでかわいい。
脇をかためる登場人物までみんな、ちょっとダメでおもしろくて愛おしい。
100年近く前にこんなおもしろい映画が撮られてたなんてね、
CGとかいくら頑張ってもルビッチの遊び心には追っつかないよ。
センスよくてテンポよくておしゃれ。さすがルビッチ先生!!!




『女の小箱より 夫が見た』

☆増村保造監督/1964年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・若尾文子さんを師と仰いでいて、出演作品をたくさん見たいので


一番大好きな日本人女優は若尾文子さん。
出演作品は膨大にあるけど、現在見ることの叶わない作品も多いみたい。
外見はもちろん、声とか話し方、身のこなしの優雅さにも憧れる!!

そんな文子師匠、この作品でもお美しかった。そして激しかった。
のっけから入浴シーンでサービスショット。
倫理や論理よりも感情を最優先する激しい女性。
こんなにまっすぐに「愛」を求められるのは、アナタが美しいからだよ。
ほぼ全編にわたって沈んだ表情か殺気立ってるか困惑してるか、なので、
ふと見せる笑顔は感動的な愛らしさでした。

夫役は川崎敬三さん。
男前なんだけど、この作品では人としてのダメさばかりが目立ち、
見せ場は少ない。ヘタレすぎてあきれちゃった。
個人的に川崎さんは、「すっとぼけた男前」の役やってるときが一番似合ってて好き。

文子師匠を惑わすのは田宮二郎さん。
この人がもう、キザでたまんない。終始キザ。
通常なら許されないような言動もハマってしまう、なんなのこの人!カッコイイ!
しかし田宮二郎さん、「純愛」はあんまり似合わないね。
何か隠してるのかも、と終盤まで疑ってしまった。

田宮二郎に人生を狂わされてもなお愛し続けることを辞めないのは岸田今日子さん。
とっても粘着質な方。
この人の粘っこさって、なんか・・・同じ部屋とかに居たくない感じ。
粘液みたいなものを口から放出してからめとられそう。
絶対に弱みを握られたくないわ、この人に。
田宮さんを愛し過ぎてとんでもない行動に出る役なのですが、
いやーーー、ある意味独り勝ち!究極の死に方。
結局だれも今日子の粘着性には勝てませんでした。


仕事にも恋愛にもみんな命がけ。
体温が高すぎてくらくらしちゃう。
文子×今日子がレズに走る『卍』、5年くらい前に見たっきりなので、
コレを機に見直そうと思います。
ひとまず今日子さんの粘っこさが私から抜けるのを待ってから・・・

 

2013年7月9日火曜日

『戦場のメリークリスマス』

☆大島渚監督/1983年/日本=イギリス=オーストラリア=ニュージーランド

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・お友達(アサイー)が、この世で4番めくらいに好きな作品と言ってたので


シブツタの380円VHSレンタルです。画像も音声もけっこうヒドかった!

それにつけても北野武さんの素晴らしさ。
大島渚監督のキャスティングセンスってとんでもないなぁ。

今年のクリスマスは、家族とか大好きなお友達とかに「メリークリスマス」を言おう。

物語の大部分は1942年なのだけど、
ちょっとここは、目をそむけたくなる場面もたくさん。
で、1946年、ハラ(武さん)とロレンスの再会シーン。
ふたりが座って、昔を思い出して語る。ああ美しくて哀しい。
オジさんの笑顔にこんなに涙してしまうなんて。
このシーンのふたりの演技は本当に完璧。
忘れられないエンディング。

正しい人なんて誰一人いないのに、
自分が正しいと思ってる人の犠牲者は後を断たないと思う。
私は、自分が正しいと思ってる人にこの映画を見せて、
デヴィッド・ボウイみたいに両頬にビズをしたい・・・

うまく感想の言えない映画だけど、
何かを批判するのではなく、人間の哀しさとか素晴らしさを描いてる。
そんで教授の音楽はもう・・・胸をしめつけられちゃう。言うことなし。

で、私はデヴィッド・ボウイ氏の見ためが好きなので(音楽はよく知らない)、
眼にも心地よかったわ。

しかし大島渚監督の映画はほぼ見たことないなぁ~~
次ツタヤいったら見てみようっと。




2013年7月6日土曜日

『小さな逃亡者』

☆モーリス・エンゲル、ルース・オーキン、レイ・アシュレー監督/1953年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・アップリンク(渋谷)

☆なぜ見たか・・・トリュフォーの熱っぽいコメントを読んで


エンゲル=オーキン特集、結局3本中コレしか見れなかった・・・
どこかで再上映してくれる日を待ちます。

ある兄弟の物語。
12歳のレニーは、どこにでもついてくる7歳の弟ジョーイを煩わしく思い、
おもちゃの拳銃で撃たれて死んだふりをする。
パニックになったジョーイは逃亡、逃げた先は遊園地。
レニーを殺した(?)ことを忘れて、ジョーイは遊びまくる。

なんともみずみずしくてかわいくて、可笑しい映画でした!
トリュフォーが批判し倒した「フランス映画のある種の傾向」の真逆をいく、
映画的な驚きと発見にあふれてる作品。

少年ジョーイの目線と同化したカメラが切り取る遊び心。
根っからの悪人みたいな人が全然出てこないところも好き。
ポニー乗り場のオジさんなんてもう、いい人過ぎて・・・
世の中全員がこのオジさんだったら、どんなにいいことか。

家から持ち出したお金が底をついたジョーイ、ある方法で小銭を稼ぐ。
この少年がお金を稼ぐのは、生きるためじゃなくて楽しむため。
ハタから見たら単なる迷子なのに、無邪気すぎて悲壮感は皆無。
清廉とは真反対の子供らしさ!

あと私はお姉ちゃんが大好きなので、
ラスト近く、レニーとジョーイの「ナイスな兄弟感」にグッときた。
いいよね、きょうだいって。ほんとに!

ジョーイを応援せずにはいられない雰囲気が、場内全体に漂ってました。
おもしろかった~。

『ドリーマーズ』

☆ベルナルド・ベルトルッチ監督/2003年/イギリス=フランス=イタリア

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・3年くらい前に人に薦められたことをハッ!と思い出して


人が薦めてくれた映画を「今度見ます」とか言ったっきり見ない、っていう人多いと思うけど、
私は10年以内くらいには見るので、どんどん教えてください。

というわけでドリーマーズ。
私はベルトルッチ作品はあんまり見たことないけど、
『暗殺の森』は暫定的に生涯のベスト15くらいに入ります。
神様が撮ったみたいな作品。
そんなベルトルッチさんの、2003年に公開された映画がこちら。

舞台は1968年、5月革命直前のパリ。
愛と革命、揺らぐアイデンティティ、というテーマは、『暗殺の森』と共通。
そこに「シネフィル」というテーマが加わってる。

私はヌーヴェル・ヴァーグの映画群に出会って以来、
映画をたくさん見たいと思うようになったので、
シネフィルの主人公3人組が映画について熱っぽく語る感じは見ててアツくなった。
(私は1959年にシャンゼリゼ通りで産まれたのよ、 
 最初に話した言葉は、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン!! のとことか。)
ゴダールの『はなればなれに』を模倣するあのシーンとかも、
懐古趣味的にいいなぁと思った。

けどベルトルッチ監督の映画が、単なる懐古趣味で終わるはずがなかった・・・
変な映画っ!
どうしてこういうことになったのか解せない。

たぶん私はイザベル役のエヴァ・グリーンがあまり好きじゃないので、
彼女が何か奇矯な振る舞いをするたびに「またコイツがやらかした・・・」と思ってしまった。
ムシェットに思いを馳せつつ自殺を試みるシーンも、「何してくれてんの!」と思った。
あの人のイカレっぷりは見ていて気持ちのいいものではなかったわ。
テオ役のルイ・ガレル氏のような繊細な魅力が、彼女にはないと思う。
ベルトルッチ本人に見いだされてのスクリーンデビューということだから、
あまり文句言えないんだけど。(言ってるけど)

ただ、カメラワークはおもしろいとこもいっぱい。
マシューとイザベルがデートするシーンのアイリスアウトに、ベルトルッチの遊び心を見た!
なんか急に微笑ましくなってしまった。
あと、3人で浴槽に入ってるシーンの鏡越しショット。すごい!!

ラストシーンについて・・・
私は安易にデモ行為に走る人がいやです(ああいう全体主義は間違った方向に行ったら取り返しつかない)
テオは、浅薄の思想のうちに火炎瓶を投げたと思いたい。
あとから見れば、革命なんて幻想だったわけだから。
3人組がはなればなれになるのは結構あっけなかった。

エヴァ・グリーンのナイスな裸体を見たい人にはおすすめ。

これを書いてたら、無性に『暗殺の森』が見たくなりました。
近いうちに見よう!!!!

2013年7月5日金曜日

『夜の人々』

☆ニコラス・レイ監督/1948年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・『We can't go home again』を見たので、ついでに処女作を借りてみた


脱獄した悪党が、愛する女と犯罪歴との間に立たされる、ってプロットに関しては
先日見たウディ・アレンの『泥棒野郎』と似てる。
けど、ぜんっっぜん違う映画。この映画は笑えない!

キーチ役のキャシー・オドネルさん・・・
場面を追うごとに美しく、儚く見えてくるから不思議。
ボウイ役のファーリー・グレンジャーさんも、最初は粗野で短気な男だなぁと思ったけど、
だんだんと繊細さがあらわれる。
おふたりとも素晴らしい演技。

冒頭、走る車を俯瞰ぎみに追うシーンから、もう映画が走り出す。
これが処女作だなんて。
一応はフィルム・ノワールにカテゴライズされているようだけど、
こんなにみずみずしくて高貴で哀しくてロマンチックでぬくもりのある作品は
他にないでしょう。


ちなみに「映画監督 処女作」みたいな感じで検索かけたら、
こんな記事が見っかりました。

☆映画史に残る「初監督作品」は?処女作トップ100ランキング
http://eiga.com/news/20101012/3/

ええええーー!って感じ。
(2位リンチって&トップ100と言いつつトップ30までしかないよってことについて)

けど見たことない作品いくつかあるなぁ。
ナイトオブザリビングデッドとか、死霊のはらわたとか。
あと、私にランキング作らせて貰うなら、絶対ジェームズ・グレイ入れる!!!


話を『夜の人々』に戻しますが、この邦題もとっても素敵ね。
原題はThey Live by Night こっちもかっこいい!
アルトマンの撮った『ボウイ&キーチ』も見てみようっと。


仏題はLes Amants de la Nuit なのね。これもいけてる。

『ワルボロ』

☆隅田靖監督/2007年/日本

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・最近原作を読み直して、また見たくなった


大好きな大好きなマーシーが、
原作(ゲッツ板谷さん著)を「今年一番おもしろかった本」みたいに言ってたので読んだ

原作とっても好きになった

映画化決定。しかも主題歌がクロマニヨンズ!

ってことで、公開時に見に行った作品。ウメちゃんと行った。

ヤンキー映画はほぼたぶん見たことないです、これしか。
ツッパリとかヤンキーっていう人種がよくわかんない。友達にいないと思う。
そんな暴れるんなら学校行かなきゃいいのに、
なんで彼らは学校にかよってるの???(素朴な疑問)
あとこの映画見た限りだと、ケンカしてばっかで忙しすぎ!
で、鉄の棒とかブンまわしてるのによく死なないよね。そしてよくお縄にならないよね。

それはさておき、私はこの映画好き。
キャラクターたちが活き活きと動き回ってる感じが見てて気持ちいいし、
のっけのチョーパン合戦とか、ビデチャンがひとりで部屋で泣いてるシーンとか、
グッとくるショットもたくさん。
この監督はちょっと他の作品とか知らないけど、ちゃんとしてる人なんだろうなぁという印象。

主人公は松田翔太さん。走り方がすごい素敵。脚速いし長い。

そして!!
松田翔太さんが憧れを抱くヤッコ役は、福士誠治さん。
もうこの人がかっこよくて仕方ない。
穏やかなしゃべり方、落ち着いた身振り、ケンカするときの眼光・・・ついていきますって感じ。
他の映画とかドラマとかで見たことがないので、私のなかで彼はパンチパーマでおなじみ。
似合ってる!好きっ!
とても中学生には見えないっ!(当時24歳だしね)

キャーム役の木村了さんも、なんか機転が利きそうで良いですね。好演。
あと個人的には、友情出演のピエール瀧氏(学ラン屋さん)がシブくておもしろい。
リンリン役の森豪士さんという人は、とても大根で笑った(すいません)。
調べたら本業はモデルさんみたい。

この作品には仲村トオルさんも出てるので、
ヤンキーへの理解を深めるためにも(なんのためか知らないけど)、
コレを機にビーバップハイスクールとか見てみようかな。


それにしても本当に最高な主題歌。

2013年7月3日水曜日

『泥棒野郎』

☆ウディ・アレン監督/1969年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ウディ・アレンの作品いっぱい見てるのに、コレ見たことなかったから。


ウディ・アレン監督作品はなんか高校生のときから好きで、
細々と、たくさん見てます。
たぶん全作品の8割以上は見てると思う。

あ、最新作の『ローマでアモーレ』、ブンカムラ等で公開中!
とっても、おもしろいです!!!

何がすごいってウディ・アレンさん、40年前から『ローマでアモーレ』まで全然変わってない。
ギャグセンスが。
この『泥棒野郎』でも、不条理なギャグとドジっ子なドタバタと神経症的なしゃべくりで
たくさん笑わせてくれました。もう小ネタの宝庫。
イヤな女の背中にこんがり焼けたターキーをぶっ刺すシーンに爆笑・・・
あと、あんなに迫力を欠いた銀行強盗シーンは見たことない。とっても好き。

のちに撮ることになる『カメレオンマン』や『ギター弾きの恋』みたいな、疑似ドキュメンタリー方式。
当時の関係者のインタビューをまじえた構成なんだけど、
ウディ・アレンの両親役が地味に笑わせてくる。
第一回監督作品にして、もうスタイルが成り立ってたのね!

ラストシーンのウディ・アレンのすっとぼけた顔までナイスでした。
アレンさんやっぱ好きだよ!!


2013年7月2日火曜日

『ア・ダーティ・シェイム』

☆ジョン・ウォーターズ監督/2004年/アメリカ

☆見るの・・・2回め

☆見た場所・・・自宅(シブツタレンタル)

☆なぜ見たか・・・ひさしぶりにとっても見たくなった


こういう映画を好んで見てることがバレると、品性を疑われると思う。
でも好きなので仕方ないと思う。

セシルBシネマウォーズとか、クライベイビーとかは大好きだけど、
ピンクフラミンゴを見る勇気はない、でおなじみの、不届き者のジョン・ウォーターズファンです。

悪趣味映画の巨匠、ジョン・ウォーターズ氏が、
卑猥な空気にそまるボルチモアを描いた作品。
日本では劇場公開されず、DVDスルー。

みんな頭を強打するとイカれちゃう、っていう設定からもうバカでグッとくる。
イカれちゃうときに頭のなかに広がるいろんなイメージも、とんでもないセンス!

ジョン・ウォーターズさんの映画は品がないけど、節度があって愛があると思う。
どこまでフザけててどこまで真面目にやってるかわからない、
でもまんまとハマってしまう。
下ネタ全開なのになんか牧歌的な感じのBGMたち、どっから見つけてきたんだろう。

いろんなフェチ大集合!って感じで(食べ物にまみれる、タイヤを舐めるetc.)私は唖然。
あ、いわゆるポルノっぽい直接的な描写とかは全然ないです。
(かといって家族で見るのは止したほうがいい)

役者さんたちも何か吹っ切れたかのように狂った演技をなさってて・・・
セルマ・ブレアさん、よくこの役引き受けたよね。好きになっちゃうよ。


ちなみにジョン・ウォーターズさんは毎回、
故郷のボルチモアを舞台にとんでもない映画ばかり撮ってるけど、
地元の人たちにけっこう愛されてるらしいです。
ボルチモアへの留学経験があるお友達(おてもと編集長の猪俣氏)が言ってた。

個人的にジョン・ウォーターズ監督の作品を映画館で見たことないから、
どっかで特集上映を組んでくれることを心待ちにしてます。




見たい映画覚え書き

☆モーリス・エンゲル=ルース・オースキン特集 @アップリンク
7月5日まで。行けるのかな???
トリュフォーのコメント
「もし若きアメリカ人のモーリス・エンゲルが、
 その素晴らしい『小さな逃亡者』でインディペンデント映画への道を示してくれなかったら、
 私たちヌーヴェル・ヴァーグは決して生まれなかっただろう。」
こんなこと言われたらもう、見たいよ!!
レンタルなさそうだし。

☆映画史上の名作9 @シネマヴェーラ
凄い作品いっぱい。
アタラント号とかマルクスのデパート騒動とか、スクリーンで見たいなぁ~

☆選挙2 @イメージフォーラム
7月6日から。想田和弘監督。
2007年の『選挙』とってもおもしろかったので、コレも期待!

☆モーリス・ピアラ特集上映 @イメージフォーラム
10月。
ピアラ監督の作品って見たことない。
中条先生が素敵なコメントなさってるし、コレは行きたいな。

☆愛のあしあと @K'sシネマ
上映中。
クリストフ・オノレ監督は『美しいひと』がおもしろかったから、期待大!
サニエちゃん、ドヌーヴ御大、キアラ・マストロヤンニ嬢という豪華キャスト。

☆トゥ・ザ・ワンダー @シャンテ、武蔵野館
テレンス・マリック監督!!8月公開。
テレンス・マリックさんは『天国の日々』しか見てないけど凄すぎて打ちのめされた。楽しみ!

☆70年代、アメリカ。特集上映 @オーディトリウム渋谷
バードシット、ナッシュビル、ハロルドとモード、天国の日々、合衆国最後の日、サンダーボルト。
私はほぼ全部見たけどね、バードシットとか見る機会あんまりないから、
素敵な特集上映だと思う。
ナッシュビルとか天国の日々はスクリーンで見るべきね。

『We can't go home again』

☆ニコラス・レイ監督/1971~1976年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・K'sシネマ(新宿)

☆なぜ見たか・・・ニコラス・レイ幻の遺作、とか謳われると見ずにいられないからっ。


でもニコラス・レイの監督作品は3作しか見てないので、
別段ニコラス・レイさんに詳しいわけでもないです。

この映画は彼がニューヨーク州立大学の講師をしていたときに、
学生たちと撮った作品。

うわーっ、わけわかんないね~~~
なんとも感想の言い難い作品、ゴダールの『映画史』みたいな、
圧倒されっぷりと困惑っぷり。コラージュっぷり。

銀髪を振り乱し、漆黒のアイパッチ、真っ赤なシャツのニコラス・レイ、
凄いね。
これを見れただけで良しとしようね。

私は孤独な場所で、暗黒への転落、理由なき反抗しか見てないので、
これを機に『夜の人々』をレンタルしてきました。楽しみ!

『ローズマリーの赤ちゃん』

☆ロマン・ポランスキー監督/1968年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・イメージフォーラム(渋谷)

☆なぜ見たか・・・ずっと見たかったのだけど、ひとりで家で見るのは勇気がいるから。
この際と思って。


なんとなく怖そうな映画は、家で見るの敬遠しちゃう。
見終わったあとも怖い空気がつきまとう感じがして・・・

私はホラー映画全般あまり見ないけど、特に苦手なのはこの二系統。
・スプラッター系。血や肉片が飛び散るのは生理的に無理
・あの物陰に何かいる・・・!系。家に居るのが怖くなる
『ローズマリーの赤ちゃん』はどちらでもなかったので、とりあえず一安心。


まず言いたいのは、「現代ハリウッド被害者ヅラランキング」の1位はナオミ・ワッツ。
ちなみに日本では木村多江。
西のナオミ・ワッツ、東の木村多江ね。

けど、60年代においては、
被害者ヅラランキングの圧倒的1位に輝くのはミア・ファローだと思う。
ゴージャス感のないガリガリの肢体、ギョロ眼、顔色の悪さ、しゃべり方。
被害妄想に駆られることにかけて、もしくはいじめられることにかけて右に出る者無し。
名誉いじめられっ子。

この映画のミア・ファロー、ほんとに素晴らしい!!
ミア・ファロー以外、だれもこの役はできないと思う。圧巻!戦慄!!
ついでに60年代ファッションがかわいいい!

あとこの映画の何が凄いって、残酷描写とか皆無なのにこの怖さとゾクゾク感。
普通の夫、普通の担当医、普通の隣人、
これらが恐怖の対象になることの異常さよ。
ポランスキー非凡!!!!!


悪魔崇拝というのが大きなテーマになっているのだけど、
このへんはいくらお勉強しても根本的には理解できないと思う、私は。
宗教のことと差別問題のことは、たぶん根本はわからない文化の違いだと思う。
なので「悪魔の子を身ごもる恐怖」っていう感覚は、まったく共感できず。

でも、「目に見えないものが身体のなかに育ってる」っていう、妊娠の不思議さは、
いつか体感するのかな???(予定なし)

あと夫役のジョン・カサヴェテス氏、やっぱシブい!好きです。





『スプリング・ブレイカーズ』

☆ハーモニー・コリン監督/2013年/アメリカ

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・シネマライズ(渋谷)

☆なぜ見たか・・・コリンちゃんの新作ということで、楽しみにしてました。
『ミスター・ロンリー』、『ガンモ』けっこう好き。


変な映画~~~!
イケてないコリンちゃんがイケてる人たちを撮るとこうなる!って感じ。
すべてはコリンちゃんの妄想だと思う。
強盗シーンなんてうまくいきすぎだし、ビキニ姿のまま拘置されて裁判受けるのもヘンだし、
エイリアンまわりの人間関係(元親友のギャングマンみたいの)詳細不明、
最後残った女子ふたりが銃の名手なのも全く説明なし。
ともするとカルト映画。

『ミスター・ロンリー』でははみだし者たちを描いてたコリンちゃん、どこに向かってるの?
イケイケに対して「バカみたい、だけどちょっとだけうらやましい」みたいに思ってるの???
ちなみにピンク髪の女の子はコリン嫁。

女の子たちがお縄になるシーンまでの映像、
こま切れすぎ、ブレすぎ、どアップすぎて、酔った。ラリった。
こういう感じはあんまり得意じゃないです。
音楽の使い方もうるさい。

けどセンスの良さは相変わらず。
ピンクの目出し帽は『ガンモ』のうさ耳少年みたい。
闇夜に光るネオンカラーのビキニも素敵。

お祭り感覚で一緒にラリって楽しむのが作法かも。
あと女体がうごめいているのを見たい人にはもってこい。

それにしても「ハーモニー・コリン」って、かわいい名前!
けど、ふと思い立って「ハーモニー・コリン」で画像検索したら、太ってた、とっても。

ブログを始めます

映画を見てもわりとすぐに忘れてしまうことが多く、悲しいので、
メモがわりにブログを書こうと思い立ちました。

・面倒になったりやっぱり書けないと思ったりしたら、いつでも辞める。

・自分のための覚え書きなので、大したことは書かない。

これらを指針に始めます。

なのでもし読んでいる方がいたら、
有益な情報を得ようとはせずに、雑談に付き合うような気持ちでお願いします。