2013年8月2日金曜日

『コックと泥棒、その妻と愛人』

☆ピーター・グリーナウェイ監督/1989年/イギリス=フランス

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(地元ツタヤレンタル)

☆なぜ見たか・・・グリーナウェイという存在を久しぶりに思い出したため


『数に溺れて』と『建築家の腹』を大学4年生のときに見て以来だから、
もう3年間くらい、グリーナウェイ監督のことを忘れていたのですね。
『数に溺れて』も『建築家の腹』も、あんなに素晴らしいのに・・・

3年ぶりに彼の作品を見た感想、
やっぱりグリーナウェイ監督は変人だと思う。
人間を生理的に不愉快にさせるのが本当に上手いのだけれど、
不愉快ながらも惹かれざるを得ないあの感じは、
ちょっと他の監督の作品では見られない。
デヴィッド・リンチなんか全然敵わない。
(リンチ、好きな作品もあるけどね)

舞台となるのは高級フレンチレストランだけど、
絶対に食事中に見たらダメな映画。

グロテスクで退廃的、浮世離れしていて、悪趣味。
美醜の不確かさをまざまざと見せられる。
絵画を見ているかのような豪華絢爛なレストランと、
ゴルチエの衣装をまとう装飾過多な登場人物。
まったく同じテンションで映し出されるのは、腐って蛆がたかる肉や魚。
または、食欲と性欲と憎悪に満ちていてどうしようもないなかに、
皿洗いの少年の天使のようなソプラノが響く。

この不思議なバランス、クセになったら危ないと思う。
おぞましいけど、それと同じくらい美しい。

粗野で横暴きわまりない「泥棒」は、気に入らない相手の口のなかに、
いろんなもの(ボタン、本とか)を詰めてやっつけてきた。
そんな彼がラスト、復讐され、口のなかに詰めさせられるものとは・・・・・・!
わー。思い出すだに恐ろしいです。
どうして、目を背けたいのに背けられないんだろう。
撮られている内容は本当にえぐいのに、決して下品にならない。
偏執的なのに夢幻的。

あと、「コック」役のリシャール・ボーランジェ氏が実によかった!
シブくて、味わい深い。
若きティム・ロス(けっこうなポンコツ役)も出ています。

この映画たぶん生理的に受け付けない人も多いんだろうけど、
私は好き。
グリーナウェイ監督、他の作品もいろいろ見たいばかりか、
数に溺れてとかももう一回見たいなぁ~。
興味深いのは『枕草子』撮ってるのね、この人。なんだそれ!!

そうそう、音楽も、発狂しておもてを駆け回りたくなる素晴らしさ!
担当はマイケル・ナイマンさんという方で、
グリーナウェイ組の常連のようです。


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