2013年8月18日日曜日

『贖罪』

5話もののドラマです、5話分いっきに~~。

☆黒沢清監督/2012年/日本

☆見るの・・・初めて

☆見た場所・・・自宅(DVDを得た)

☆なぜ見たか・・・かねてから気になってたのだけど、DVDを得たので。
           間断なく全話見た!


黒沢清監督は、世界でも指折りの天才です。
世界に誇るべき日本の財産だと、改めて確信。

見てない人は一刻も早くツタヤにダッシュだ!
公式サイトはこちら!!!
これWOWOWで毎週放映されてたのですよね。
黒沢清監督の新作が毎週見られたなんて、すごい状況だな。

全編にわたって言えるのは、
とにかく(黒沢清監督の)映画並みの濃密さ、完成度の高さ。
くすみがかった不穏さや廃墟っぽい空間デザインや、黒沢節全開!
WOWOW制作だからこそ、
ある程度撮りたいように撮れたんだろうなーという感じ。


15年前に起きたエミリちゃん殺人事件。
そのときにエミリの母(小泉今日子)に"呪い"をかけられた4人の少女。
4人の15年前と現在が、それぞれ語られる。
以下、1話ごとにちょっとずつ感想を述べます!

第1話『フランス人形』
主演は蒼井優さんと、森山未来さん。
このふたりの新婚生活が・・・
こんなものをテレビで映していいのか!!っていうおぞましさ。
森山未来くんうまいなぁ~~~気持ち悪いなぁ。
蒼井優さんもキャリアのなかでトップレベルに魅力的だと思う。
そして小泉今日子様の無表情!
三人とも不吉なルックスで、しびれちゃう。
怪奇映画のような、デカダンスな魅力。

第2話『PTA臨時総会』
主演は小池栄子さん。
凍りついたような、思いつめたような顔で、ファーストショットから戦慄する。
そして手紙をしたためるシーンは
あの素晴らしい『接吻』(万田邦敏監督)を思わせる。
(小池栄子さんがアデルになった大傑作!)
もうひとつ、第2話で注目すべきは、手に汗握るアクション性!
人間の内面に関するドラマとこの活劇が見事にリンクしている。
そして、タナベ先生の歪みきった人間性が生み出す、
どこまでもまがまがしいラストシーン・・・
人類はこれ以上にまがまがしいものを見たら確実に発狂する。
小池栄子さんの才能を皆でたたえよう。

第3話『くまの兄妹』
主演は安藤サクラさん。
怪演・・・!怪演という言葉すら陳腐に思えてくるくらいの!
おっかない!彼女の走り方の気味悪さは前代未聞!
この話のなかで安藤サクラさんは、他人に二度、洋服を貰う。
その二シーンは見事に同じ構図で撮られていることを、見逃してはならない!!
わるーーーい予感がする。
なんとなくホームドラマっぽく始まった、と油断していたら、
奈落の底にたたきつけられるよ!
安藤サクラさんの演技はコレと『愛のむきだし』しか見てないので、
ただただおっかないっす!
(ついでにいうと最近『まほろ駅前~』を見たので、
 安藤サクラさんと柄本佑氏のご夫妻は、私の中で「怪奇!」って感じ!)
加瀬亮くんがいまひとつだったような気もするのだけど、
気持ち悪さは光ってたわ。

第4話『とつきとおか』
主演は池脇千鶴さん。
前作までの3話の女たちに比べると、とってもしたたかな女性。
池脇千鶴さんって全然出演作品見たことないのだけど、
なんとなく清純派のイメージでした。
けどこの作品!ニンフォ!びっくりだ。
こういう女いかねないよねー、っていうリアルさが恐ろしい。
そして長谷川朝晴さんもリアルなダメさ。
男の人全員に見てほしい、そんで全員震え上がるがいいよ。
俳優から最高の演技を引き出す、黒沢清さんのずば抜けた演出力に感服!!

第5話『償い』
主演は小泉今日子さん(彼女は全エピソードに出演)。
これまでの4話は、誰が、どうしてエミリちゃんを殺したのか・・・
という謎を宙づりにしたまま語られた。
いよいよ、第5話でそれが明かされる。
けれども謎が解明されることの爽快さなどとは、やっぱり無縁。
フラフラと歩く小泉今日子さんを、ショッキングな気持ちで眺めつつ、
ただただ精根尽き果てるのみ。
フリースクール経営者(香川照之さん)も歪みまくってるのだけど、
あくまでさりげなく演出されているので、恐怖がじわじわと迫りくる。
人間の業の悲惨さに言葉もなくなっちゃう。


全エピソードが大傑作という、驚くべき連続ドラマです!!!


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