2013年12月18日水曜日

ポーランド映画祭2013

もうブログの存在をからっきし忘れて毎日を過ごしていたけれど、
忘れがたいポーランド映画祭の記録を残しておきたいので、久しぶりに開いてみた。
パスワード覚えててよかった~~。

ポーランド映画祭2013 イメージフォーラムにて。
11月30日から、12月13日まで開催してました。

全22作品、心を惹かれてやまなかったので、フリーパス(8000円)購入。
無理に無理をかさねて12作品を鑑賞。(当初は15本くらい見れると思ってたのに、なんか誤算)
かよったねー、かよったかよった。イメフォ。

簡単に、一言ずつ感想を残しておきましょう。パンフレット掲載順に。


☆夜行列車
 (イエジー・カヴァレロヴィッチ監督/1959年/ポーランド)
廊下まで人がビッチリ居る夜行列車内の場面が延々と続く。
だから、外に出たときはすごい開放感。
ポーランド美女(三白眼)、気怠いジャズ、陰影の深い画面とか、
雰囲気ばかりが先行してた感はあるものの、その雰囲気はまぁ好きだった。
人物を詳細に描写することを意図的に辞めているような不思議な印象。

☆さよなら、また明日
 (ヤヌシュ・モルゲンシュテルン監督/1960年/ポーランド)
モルゲンシュテルンて。すごい名字だ。
余談だけどポーランドは名字天国らしくて、同姓の人が非常に少ないんですって。
人口が三千八百万くらいで、名字は四十万以上らしいですよ!!!ポーランドすご!

で、映画。
これはとっても好き~~~。青臭いほどに若々しくて、ぎこちなくてイタい恋愛の映画。
ポーランド青年とフランス女性の関係性がおもしろかった。
文化や言語や性差の障壁(=バリエラ)を、重苦しい印象をまとわずに描いてる。
ポーランドの街なかで当たり障りのない会話をする彼らをずっと撮っていて、
なんかもう、実にヌーヴェル・ヴァーグ。
主役の青年が小劇団の人という設定で、
劇団のみんなで酔っぱらって朗々と歌うシーンなんか本当に自由闊達な雰囲気に満ちていた!
この青年、ズビグニェフ・ツィブルスキ氏は、
今回の映画祭で他の作品でも何度かお見かけした。
ズビグニェフ・ツィブルスキ。この名前を覚えられる気が全然しないわ。
そして音楽は、我らがクシシュトフ・コメダ氏。
ピアニスト役でちょろっと出ています。

☆不運
 (アンジェイ・ムンク監督/1960年/ポーランド)
今回の映画祭で私が見たなかでは、最もコメディ色の強い作品だったかも。
周囲に溶け込みたい男・ピシュチクは、ドコに行っても何をしても、
不運のせいでまわりに適応できない。居場所がない。挫折に次ぐ挫折。
並み以上なんて求めていないのに、世間並みの幸せすらつかめない。
そんなミスター不運を描いたブラックなコメディ。
浅薄・不器用・臆病の三重奏は自分を見ているようでなんとも。悲しくなっちゃうよ!!!
カワイソウな人生も、突き放して見れば、
そうロングショットで見れば、喜劇になってしまう。
誰か私の人生も笑い飛ばして。

☆沈黙の声
 (カジミェシュ・クッツ監督/1961年/ポーランド)
主人公が、なんだか不思議な役どころでした。
アンチヒーローというか、ダメ男というか、何かんがえてるの?という感じの。
こういう男に引っかかりたくないものです。
クッツ監督は『沈黙』という作品も見たけれど、ショットがきれい。
斬新かと思いきや堅苦しい、みたいな、予想を裏切られるようなショットが続く。
あと余談だけどこの映画、ハエがすっごいたくさん居て気になった・・・!
男と女が甘めに話してるのに、男の背中にハエ2匹、とかね。
ポーランドはハエが多いのか??他の作品であまり見なかったと思うけど。

☆沈黙
 (カジミェシュ・クッツ監督/1963年/ポーランド)
沈黙を守る少年、司祭、街の人々の映画。
なぜ沈黙し続けるのか判らないのは、私がカトリック教徒じゃないから??
少し説教くさいというか、司祭役の俳優さんが大仰だし、
主人公の少年の聴力を表すのに耳を大写しにするセンスも「???」でした。
雪のシーンとかきれいなんですけどね。
ちなみにこの映画にはハエではなくネズミがいっぱい出てきました・・・

☆不戦勝
 (イエジー・スコリモフスキ監督/1965年/ポーランド)
スコリモフスキ監督!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!大好き。
三年前に見てドハマりした映画『バリエラ』の監督で、
私がポーランド映画に興味を持つきっかけになった人。
なんとティーチインで、御本人がおいでなすってね、
非常にユーモラスで愛すべきおじいさんでした。えへへ。

監督自身が主演も兼ねてて、街をうろうろと動きまわる。
『バリエラ』を初めて見たときから一貫して、
スコリモフスキ監督作品の「運動性」とそれを撮るカメラワークに驚嘆させられ続けてる。
本当すごいよ。
この作品の長回しもちょっと驚異的。
そして不思議なユーモラスさね。
ラストの皮肉な苦笑い加減たるや、ちょっと似たものがない。
最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

スコリモフスキを知らない人と文化的な話をしても、時間の無駄にほかならない!
みたいに中原昌也さんが言ってた!あはは!


☆サラゴサの写本
 (ヴォイチェフ・イエジー・ハス監督/1965年/ポーランド)
これは今回の映画祭で最長尺かな。182分。
ポーランド映画祭2013の〆作品でしたー。ハス!!
夢のなかの夢のなかの夢、みたいな映画で、頭のなかはゴッチャゴチャ。
何回か見たら合理的に完全に解釈できるんだろうけど、私の頭は錯乱したーー。
狂おしいほどおもしろい。
ツイッターに書いたけど、ラブレー読んだときみたいな圧倒感がありました。
本当にね、こんなにお金かかってそうな作品があるって時点でもう驚いた。
あと、ギャグの間の取り方が日本と似てる??!!
ブルーレイ来年発売。買えるようにがんばろう!

☆戦いのあとの風景
 (アンジェイ・ワイダ監督/1970年/ポーランド)
今回の映画祭はワイダ特集みたいのが組まれて7本上映されたのだけど、
私は2本しか見られなかった!残念!
そして、2本ともあまりハマらず!!残念!
なんだか窮屈で小難しくて説教ぽい映画でした。。
ポーランド史に精通してないのも敗因?

☆夜の第三部分
 (アンジェイ・ズラウスキ監督/1971年/ポーランド)
コレはとても変な映画で、置いてかれた。
お話がよくわからなくなったのと、描写の気持ち悪さについていけず!残念!!

☆砂時計
 (ヴォイチェフ・イエジー・ハス監督/1973年/ポーランド)
心から興奮!!!すごすぎるハス!
どうやったらこんな映画ができるのか・・・
バリエラの彼が彷徨い歩く異次元空間。
仕組みのわからない広大かつ唐突なセットと、流れるような移動撮影にクラクラしっぱなし、
打ちのめされた。呑み込まれたーーー。
ラストショットまで戦慄がとまらない。
素晴らしい映画体験をありがとうハス。
コレは未ソフト化なの、心底かなしい。紀伊國屋さん、コレもお願い!!!

☆鉄の男
 (アンジェイ・ワイダ監督/1981年/ポーランド)
ハスの182分はワクワクしどおしなのに、
ワイダの152分はかったるく感じてしまうのは一体・・・
いやあ長かった!!!
今回の映画祭で悲しかったことは、ワイダとわかりあえなかったこと。
来年はハス特集で頼みます。

☆イーダ
 (パヴェウ・パヴリコフスキ監督/2013年/ポーランド)
ジャパンプレミアは結局この1本しか見られず。
息をのむほどきれいなモノクロ画面で、満足。
主演ふたりの対照的な存在感がとてもうまいなと思った。
イーダの禁欲ヅラが印象的。
美しい、美しい映画。


はい。以上です。

今回の映画祭で、ポーランドに興味津々になっちゃった。
空前のポーランドブーム到来!!
ポーランド文学とか全然読んだことがないし、
ポーランド史の知らなさも痛感したので、お勉強しよう。
いつの日かポーランド旅行できるといいな、な!!!
とにかくポーランドブーム!

でも、12本も見たのに全然ポーランド語を習得できず。
はい(タック)、いいえ(ニエ)しか。ポーランド語難しいわ。

ともあれありがとうイメージフォーラムさん!!!2週間楽しかった!

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